第2話 見たことのない街
「残念ですが、あなたをこのまますぐに元の世界へお返しすることはできません。システム上の関係で…」
彼女は決まりが悪そうな顔で俺を見ている。
「困ったなぁ…明日も普通に学校とか部活もあるんだけどなぁ…あと塾もあるわ。あ!そういや明日の塾数学の小テストあんじゃん!うわぁ〜何も勉強してねぇ〜w」
俺は馬鹿みたいに1人でブツブツぼやいた。
彼女はそんな俺を見て再びニッコリ微笑み、こう言った。
「あなたならきっと大丈夫です。日々トレーニングを重ね、武器や装備を強化し、仲間と出会い、支え合いながら最後は必ず魔王を倒せるはずです。」
彼女の優しい言葉を聞いた俺は、なんだか妙な自信がついた。
「まぁでもゲーム理由に学校とか塾サボれるって考えれば、損した気にはならないかもな!むしろ最高かもw」
俺は単純な男なのかもしれない。いやむしろそうだろ絶対。
「それではまず先ほども申し上げた初期装備のプレゼントです。」
彼女が指差した方へ目を向けると、そこには確かに装備があった。装備というより革製の服みたいな感じ。とびきりボロい…。
「これが初期装備?wほんっとただの『冒険者A』って感じだなww」
「防御力はあまり期待できませんが、強化していけば序盤までは活躍できると思います。」
「これじゃスライムも倒せねえだろw」
「スライムは貴重な経験値源ですよ!倒せば倒すほど経験値が貰えます。そして自身のレベルが1ずつ上昇していきます。経験値に関する御説明も致しましょうか?」
俺は初期装備を着ながら首を振った。
「経験値ってゲームじゃよくあるやつじゃん!そんぐらいわかるって笑」
「了解しました」
彼女はそう応えたあと、俺をリサシテーションルームの最深部へと案内した。
「冒険をしていくには、拠点となる街が必要です。今からあなたをその街へと転送しますね。」
「おう!なんか楽しみ〜!」
俺はちょっとワクワクした。始まりの街って感じ!どんなところだろ!
「それでは冒険の拠点となる街、『ビギニングヴイレッジ』へとあなたを転送します。いってらっしゃい。」
彼女はそう言って微笑み、持っていた杖を俺に向けた。するとその瞬間杖の先端から青白い光が勢いよく発生し、俺を優しく包み込み、視界が暗くなった。
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