リバイバルゲーム
ロア
第1話 物語の始まり
俺は山本賢治!18歳!高校3年生だ!
毎日の学校生活が楽しくってマジ幸せモンだぜ俺!明日もきっと色々楽しいぜ!うぇーい!さーてもう時間も遅せーし寝よっと!
・・・のはずだった。
「あ、目が覚めたようですね」
近くで突然聞こえてきたのは若い女性の声。
どうやら俺はいつのまにか寝てしまっていたようだ。
「んん…えっと…誰っすか?」
目をこすりながら声の主の方へ顔を向ける。
その女性は教会のシスターのような格好をしていた。しかもなんか杖?みたいなの持ってるし。
「ここはリサシテーションルーム。いわゆる“蘇生の部屋”です。」
「リサ…シ……は?w」
俺がふざけ半分で応えると、その女性はニッコリ微笑んでこう言った。
「おめでとうございます。あなたはリバイバルゲームのプレイヤーに選ばれました。」
俺は意味が全くわからなかった。
辺りを見回すと、確かに俺の部屋ではない。
コンビニくらいの広さの、木造の部屋だった。
「リバイバルゲームって?俺何すりゃいいんだよw」
「あなたにはこれから数々の冒険をし、最終的には魔王を倒してもらいます。」
ますます意味不明だ。
「え、じゃあ学校とかどうなんの?」
そう聞くと女性は、
「がっこう…?申し訳ありません。初めて耳にする単語です。そのような事よりも、ゲームクリアが最優先です。ではまず初期装備をこちらに御用意しておりますので…」
「いやいやいやいや、冗談じゃねえよ!w冒険?魔王を倒せ?さっぱり意味がわからんぜ!」
「そうおっしゃらずに…」
俺は我慢できなくなってこう言い放った。
「じゃあとっととその魔王とやらを倒せば帰れるんだな?いいぜやってやる!その魔王に会わせてくれ!!」
「ですが行き当たりばったりで倒せるような敵ではございませんよ?」
「いいから!!明日学校で席替えあんだよ!だから早く帰りてえ!」
すると女性は少し考え込んでからこう言った。
「…了解しました。では、魔王討伐クエストへのワープホールはあちらでございます。」
「おう!倒すぜ魔王!待ってろ!」
俺は右腕をブンブン回しながらワープホールに近づいて行った。
「あ、あの!装備はなさらなくてよろしいのですか?」
女性が焦って声をかけてきたが無視した。今は魔王を倒して一刻も早く家に帰りたい。その気持ちでいっぱいだった。
ワープホールの前に立つと機械音が鳴り響いた。
「「マオウノシロヘトワープシマス」」
すると俺の体は少し宙に浮き、そのままワープホールの渦の中へと吸い込まれた。
イメージ的にはプールにあるウォータースライダーみたいな感じ?ちょっと楽しかった。
10秒くらいワープホールを進んだ時、辺りのワープ空間の渦は消え、それと同時に前から猛烈な温度の熱気を感じた。
「熱っつ!!!!!」
目を開くと、そこには高さ数100メートルはあるであろう巨大な城があった。城の周りはマグマの川だらけ。そりゃ熱いわけだ。
「やっべぇ…これゲームとかでよくあるガチなラスボスがいるようなとこじゃん!」
そんなことを考えていたその時だった。
ゴゴゴゴゴゴゴゴ……
地面が激しく揺れ始め、マグマの川の流れが荒ぶってきた。
「ちょ、何だ何だ??」
俺は地面の揺れに耐えきれずその場に尻もちをついてしまった。焦りと共に心臓の鼓動が速くなる。
その時、マグマの川から黒くて巨大な何かが飛び出してきた。トカゲのような頭、2枚の大きな翼、大きな鱗で覆われた胴体…
それはまさしくドラゴンだった。
「ああ…ああああ…あああああああああああ!!!!!」
ドラゴンは俺の悲鳴を最後まで聞き終えることなく、無慈悲に俺に火炎放射を浴びせた。
俺は何も出来なかった。
気づくと俺はまたあのリサシ…なんとかルームに横になっていた。そして再びあの女性が声をかけてきた。
「気がつきましたか?」
俺は体を起こして女性に聞いた。
「俺…ドラゴンが襲ってきた後、どうなったんだ?」
「はぁ…」
女性はため息をついて続けた。
「ドラゴンの火炎放射があなたに当たる前に私がこの部屋に連れ戻したんですよ。」
「え!どうやって?」
「この杖を使ってです。」
女性は持っていた杖を大切そうに俺に見せた。杖の先には透明の水晶玉みたいなのがくっ付いている。
「この杖は私が一番大切にしている物です。私がこの杖に命令すれば何でも言うことを聞いてくれるのです。それで、あなたがワープホールに入った時に『あなたが攻撃を受ける前にここに戻ってくるように』と命令しておいたのです。私がこの杖に命令してなかったら今頃あなたは丸焦げでしたよ?」
「そうだったのか…」
まさに杖とこの女性に感謝だった。
「もう今後は突然ボスに挑むような危険すぎる行動は、やめて下さいね?」
俺は無謀な事をしたと改めて実感した。
しかし俺はある事を思いついた。
「じゃあ君がその杖に『山本賢治を元の世界に帰せ』って命令したら俺帰れんじゃね?」
久々に頭が冴えた。
しかし女性が返した言葉は俺の期待を裏切るものだった…
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