02
僕が、久遠憐という少女に出逢ったのは高校の合格発表のその日。
桜が舞う学校の敷地で、遠くを見透かすかのように凛々しく立っていた彼女にどうも目を奪われてしまった。
偶然にもクラスが一緒で、それ以来憐とは友人関係にある。
そんな彼女は一際クラス内でも、目立っていた。なにしろ顔立ちがいいもんだから、クラスのみんなは
しかし、そんなことも最初だけで気づけば憐に話しかける人は居なくなっていた。
理由は明白で、話しかけてくるどんな人の声にも憐は決して耳を傾けようとしなかったのだ。
口を開いて言葉を発するのは授業中くらいなもので、普段から
……まぁ、憐のことだからそんな事はどうでもよかったんだと思うけど。
相変わらず、憐の容姿はとても優雅だった。
気怠そうな彼女の顔は凛々しく。一輪の花のようで、もはや異常なのではないかというほどに整っていた。
その気怠そうな表情は髪にも表れていて、少し跳ねた襟足が黒髪のショートカットを一層、
でもある日、憐の雰囲気が変わった。まるで別人のように、久遠憐という人物すべてが変わってしまった。
そう。
憐が目にケガを負った、あの時から──。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます