第1話

 「あっづーーーーい!!!」


初夏の日差しが容赦なく俺らを照りつける。

「なんでこんな日に体育あんの!?ほんと無理なんだけど!」

そう隣で叫んでるやつは同じグループの那加川深夜なかがわ しんや。見て分かる通りまぁ元気でちょっとうるさ、、いや何でもない。

「俺だって暑いっつーの。ほら、早くストレッチすんぞ。」

そういう俺は、西垣藍斗にしがきあいと。まぁ何処にでもいるようなカースト中位(のはず...)の学生だ。


 「はぁ、、女子はまだいーよなぁ。体育館でバレーかバスケやろ?」

そう恨めしそうにぼやきながら、体育館の方を見る深夜につられて、俺もそちらの方へ目を向ける。


 不均一なボールの跳ねる、少し遠い音。その音が耳に入ってくるのと同時に、俺はある一人の女子に目がいった。瞬間。高く舞い上がる姿。その白い手で彼女はボールを的確にとらえ打ち返した。


 「おぉ!!田内さんすっげー!!な、藍斗今の見た?!!」

興奮したように深夜が叫ぶ。こいつ、、さっきまでめっちゃだるそうに不満言ってたくせに、、

「あぁ。めっちゃ飛んだな。」

確かに彼女の姿には息をのんだ。まるで鳥のようで、その発辣さには何処か、、惹かれるものがあった。

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刹那の色を教えた君は 08Re葉羽かり @08re_habakari

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