第151話 神戸ドリーム観光

同じ日

神戸市内、神戸ドリーム観光社内

「リーン」

「リーン」

社内ではけたたましくの電話がなり続き、社員が対応に四苦八苦していた。


「ただいまー!石崎帰りましたー!」

雨を拭いなら石崎がドアを開けて入ってきた。

「ただいまー」

石崎の後ろに次期社長の播磨が続く。

濡れた姿はさらに貧相である。

髪を乾かすためにそのままシャワー室へと向かった。


「おう、お帰り石崎!瞬間移動ツアーお疲れ様!で、どうだった反響は?」

「いやー、最高でしたよ。お客様はみんな大喜びでした。しかし社長、今日は電話が騒々しいですね」

「そうなんだ。昨日『神戸シティライフ』にわが社の全面広告が掲載されたので、朝から瞬間移動ツアーの申し込みが殺到しているんだ。君も手が空いたら電話を取って対応してくれんか?」

「わかりました。しかしこの広告すごいですね、今回と同じ行程ですけど2倍の価格に設定されていますね。強気ですね」

「ああ、1回目はお試しなんでリーズナブルな価格にしたが、超満足だったんだろう?これくらい値上げしてもバチは当たらないだろう」

「はい、この価格でも予約が殺到しているので期待度がわかりますね」

「ところで予約殺到はいいが、摩耶さんと我が社の契約は継続してもらえるのだろうね」

「あ、それなんですが摩耶さんの先輩の堀さんと、そのお母さんも今回の旅行中にめでたく能力者になりましたので契約は問題ありません」

「そうか、候補者が3人に増えたのか、よかったな。それはそうと、うちのせがれはどうなんだ?」

「いや・・・坊ちゃんは頑張ってるんですがもう一息です」

「あいつは金の亡者だからな、参加資格無しか。しかたないな・・・」

さすがは父親、よくわかっている。

「ハックション」

シャワー室から貧相なくしゃみが聞こえた。

「それより石崎、今やっている国会中継を見てみろ。旅行業の管轄の山崎運輸大臣が瞬間移動の許認可制を考えているようだ。もしそうなったら『許認可第1号』となるわが社は他社を圧倒して業界ナンバーワンになれるぞ!」

「はい、それは間違いなしです。来週号の『神戸シティライフ』にも吉原さんが、今回のツアーを記事として大々的に取り扱うように言ってましたから、さらに評判は広がります」

「加えて来月には、我が社は東京証券取引所に上場する予定だから向かうところ敵なしだな。上場記念として全社員にボーナスを弾む予定だ」


「はい、私もかねてから神社企画をやっていてよかったと思っています。趣味と実益がマッチしていますから少々きついスケジュールでも苦になりません」

「そうか、今後もよろしく頼むよ!」

「はい!」

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