第146話 ミスマルノタマ教室
話は変わって同時刻、高校内のミスマルノタマ教室「早い組」にて。
今日も50人の生徒たちが、熱心にウタヒを唱えている。
「おー!タマが見えたぞー!」
急にゴジラ・渡辺が大きな声で騒ぎだした。
常々下ネタを振り撒く渡辺が「タマ」と言うので全員が他のタマを想像した。
「え、渡辺部長。マジですか?見えたんですか?」
ラスカルが近づいて聞く。
「ああ、間違いないと思う。多分これがミスマルノタマだろう。こっちのタマじゃあないぞ!」
股間を指差して喜ぶ渡辺。
「もう、部の品格が下がります!ちょっと触れてもいいですか?」
渡辺に腕を指し伸ばす堀。
「触れるのは、こっちな!間違うなよ!」
「わかってます!あ、温かい。間違いない、ミスマルノタマです。渡辺部長、ゆっくりそのまま手を前に伸ばしてください」
「本当だ温かい。やったー!ついに完成したぞー!」
「よかったですね!渡辺部長!」
「おう、頑張った甲斐があったよ。みんなありがとう」
「いいなー!」
「おめでとうございます!」
「「「パチパチ」」」と教室内から拍手が起こった。
「という事は、俺は今から水晶を使ってどこでも行けるんだな。おーい、秀!」
「部長はん、よかったでんな」
「今から俺の志望校の信州大学農学部に行きたいけど大丈夫か?」
「えー、今からでっか?そら行けんことおまへんけど」
「ミスマルノタマ出現記念だ!とは言えオレ1人だと少し不安だから一緒に付いて来てくれ」
「はいはい、相変わらず人使いが荒いでんな。これも部長権限でっか。星、信州大学近くの神社はどこでっか?」
「えと、たしか三輪神社なんだナ。はい水晶」
「おう、いつも気が利くな星、ありがとうな。同じ部員とはいえ、少しは星を見習った方がいいぞ秀。ほら行くぞ!」
星から水晶を受け取り、秀の肩を組んでのっしのっし歩くゴジラ。
「へいへい、ほな行きまひょか」
「よーし!日本一うまい米を作るぞー!」
「へいへい」
お化けトンネルに向かって歩く2人の声が遠ざかっていく。
ラスカルが摩耶にメールを入れた。
「渡辺部長もミスマルノタマ完成!やりー! 堀」
「「あ!見えた!温かい・・・」」
後ろの席に座っていた双子のマイとアミがステレオのように同時に叫んだ。
「「星君、ミスマルノタマだと思うんだけどちょっと触れて確認して」」
「本当?確認するんだナ」
マイとアミに手を指し伸ばす星。
「うん、間違いないんだナ。ミスマルノタマなんだナ」
「「やったー!」」
手をとって喜ぶ2人。
「そうだ、先日長野に帰った佐藤おじさんのところに行こうよ」
「うん、いいね。きっとおじさんビックリするよ」
「ねえ、星君・・・」
「はい、これ。前回使った熊倉神社までの水晶なんだナ」
「もちろん、一緒に行ってくれるよね」
「了解なんだナ」
「「やりい、旅は道づれー!」」
「やれやれなんだナ」
手を繋いでワイワイ言いながら教室を出る3人。
「なんとマイさん&アミさんもミスマルノタマ完成!やりー2! 堀」
「あ、どうやら私にも見えたみたいだ。すまないが卯原さん確認してもらえないかな?」
熱心に目を閉じてウタヒに集中していた大江田先生が隣のメグに尋ねた。
「あら、先生。ここから見ただけでわかるわ。あらためて確認の必要ないわよ。それがミスマルノタマです。しかもさすがに言霊が強い先生のミスマルノタマね。とても強力よ」
「そうか、これで来年の修学旅行の引率ができるね。嬉しいよ」
子供のように顔をほころばせる大江田先生。
「なんとなんと大江田先生までもミスマルノタマ完成!やりー3! 堀」
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