第137話 国会議事堂
日枝神社から連れだって歩く4人の前に日本国の象徴、国会議事堂が見えてきた。
広田が胸ポケットからスマホを取り出す。
「あ、私だ。今議事堂に着いたから、ああ、SPを3人ほど回してくれ。」
スマホを胸ポケットに入れたあたりで門の前に到着した。
「おはようございます、幹事長。今日は珍しく徒歩ですか?」
門の警備員が敬礼しながら尋ねた。
「ああ、神戸からどこでもドアで到着だ。今後は国会議員全員が徒歩になる日が来るかもな」
「はあ?」
怪訝そうな警備員を後にして、門を通るとガタイの大きなSPが4人の前後に就いた。
「申し訳ありませんが、証人以外の中居様と吉原さんはこちらの控え室でお待ちください。もちろん会議の内容は中のモニターで見れるようになっております」
「わかりました、ご配慮ありがとうございます。じゃあふーちやん、頑張ってきてね!」
「もちろんよ!」
「はっはっは、いい返事じゃ。ワシらはこの部屋で待機しているから、何かあったらすぐに助けに行くわい!」
「ありがとうございます。では行ってまいります。あ、ジョージおじさんこれ預かっててね」
摩耶はミッキーマウス銅鐸を吉原の手に渡した。
「それではみなさん、後ほどお会いしましょう。さあ摩耶さんこちらへ」
広田の案内で、控え室をあとにして歩きだす摩耶。
「針のむしろか・・・」
摩耶は小さな手を広げて「人」という字を書いて飲み込んだ。
摩耶を伴って広田とSPたちは、ざわめきが聞こえる会議場に向かって長い廊下を歩いて行った。
「どっこいしょ、それではワシらはここで見物させてもらうとするかな」
中居が大型モニターの前にあるソファーにゆっくりと腰を掛けた。
「今、スイッチを入れますね」
吉原がリモコンのスイッチを入れると議場の様子が画面に現れ、今まさに広田と摩耶がドアを開けて入るところであった。
「オー!」
「入って来たぞ」
「あれが今回の騒動の犯人か!」
「全くけしからん!」
摩耶の制服姿を見た議員たちの怒号が聞こえる。
「やかましい連中じゃのう・・・これは摩耶さんには、ちと酷じゃのう」
摩耶に対する容赦ない怒号に、中居が静かに目を閉じて何やら呪文を唱える。
「シーン」
呪文が終わると今までの喧騒がウソのように静まった。
「中居さん、何をやったのですか?」
「はっはっは。ちとうるさいから奴らのここを使えなくしたんじゃ。なーに、しばらくしたら元に戻る」
吉原の問いに喉を指差して笑う中居。
さすがである。
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