第130話 摩耶帰還


作戦会議@ウイング


「ところで摩耶さんたち御一行は、今はどの神社にいるのかな?」

「ズズッ」と最後のアイスコーヒーを飲み干した中居が言った。

「昨日は鹿島神宮と伊勢神宮なんだナ」

「なんや今日は朝から出雲大社や言うとったで。ほんまに忙しいこっちゃ」

「そう言えば、昨日ミスマルゲットした堀さんのお母さんの初飛行が上手く行ったみたいね」

「しかし、普通では考えられないスケジュールだな。全く瞬間移動さまさまだな」

と中居が漏らしたあと「プルプル」とポケットのスマホが鳴った。

「はい、中居です。あ、お義父さん。はい、はい。え?いきなり明日の昼ですか?はい、摩耶さんは今たぶん出雲大社にいるそうですが、例のシステムを使えば可能かと。はい、はい。彼女に連絡したあと、また折り返します」

「早速、幹事長から摩耶ちゃんに国会証人喚問の依頼ね」

「さすがだね。義父の思念が全部読めるから話が早いよ」

「秀、急いで摩耶ちゃんに連絡を取って。今すぐ神戸に戻ってくるように言って」


「アイアイ・サー」

ポケットから取り出したスマホをかける秀。


「あ、摩耶はんでっか?今どこにおりまんねん?出雲?なんや明日の昼に永田町に行かなあかんらしいねんけど。とりあえず今からウイングに戻って作戦会議しまへんか?OKでっか?ほなのちほど」



5分後

「カランカラン」

ドアのチャイムが鳴って、額の汗を拭いながら摩耶が入って来た。

「ただいまー!急に帰ってきたからお土産は無しね。ごめんね」

摩耶が肩をすくめてペロッと舌を出した。

「まあ、摩耶ちゃんったら汗びっしより!」

「今、出雲から戻ったばかりなの」

「例の瞬間移動ツアーのガイドね。お疲れ様でした。とりあえずおしぼりとアイスコーヒーね」

気の利くマイが摩耶の前にアイスコーヒーを置いた。

「ズズー」と摩耶は一気に飲み干した。

「今回は初めてのツアーガイドだったけど、参加者のみなさんは短期間に有名神社をたくさん周れて大喜びたっだわ。」

出雲大社の前で撮ったスマホの画像を差し出しながら摩耶が説明する。

「摩耶はん、それどころやおまへんねん。実はあんさんは明日、国会に証人として行かなあかんねんで」

「えー!国会ってあの難しそうなおじさん連中の前で、私が話さなければならないの?」

「そうなんだナ。摩耶ちゃんを直接指名してきたんだナ」

「えー、私何を話せばいいの?前回やったの報道陣の記者会見でさえ緊張したのに・・・」

「まあ、そのために想定される国会での模範回答をここに用意したところだ。お疲れのようだが、まあ読んでくれ」

中居が大学ノートを摩耶に差し出す。

「えー、これ全部暗記しなければならないの?中間試験が終わってホッとしてたところなのに」


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