第128話 かごめかごめ 4

 摩耶が地図上の伊勢神宮と出雲大社の間に棒を置いた。


「直線が六甲山を通過した!」


「はい、正解です。伊勢神宮と出雲大社を結んだ約400キロの線は、正確にカタカムナ文明の発祥地・六甲山を通過します」


「レイラインか」

 吉原が呟いた。


「レイライン・・・大切な遺跡や建物は一直線で結ばれる理論だな」

 石崎も日本地図を指でなぞりながら食い入るように見つめて言った。


「もっと詳しく言うと、この直線は六甲山中の芦屋神社の奥宮にある磐座(巨石群)を通過します」


「あ、その磐座はs研の部員たちと行ったことあるわ。たしかご祭神は『国譲り神話』に登場した『天穂日命(アメノホヒノミコト)』だったわね。なんで神戸の神社に出雲の神様が祀られているのか不思議だったの」

 ラスカルが答えた。


「たしかに『天穂日命』は一般には役目を果たさなかった神様と見られていますが、唯一天津神(伊勢)と国津神(出雲)の神様たちの橋渡しをしましたね」

 さすがに神社オタクの石崎だ。よく知っている。


「メグちゃんが言うには、カタカムナ人は神戸の六甲山を中心として前後に伊勢神宮と出雲大社を正確に配置したらしいの」


「たしかに。地図も人工衛星もなかった古代人にとっては位置関係を正確に把握するのは不可能なことだよな。万能なカタカムナ人だからこそできたんだな」

 吉原が納得したように言った。


「では、先程の謎解きの続きをやります。カタカムナ文明の中心地であった六甲山の真後ろに出雲大社があるわけですから『うしろの正面』と言うのは反対側に一直線上にある伊勢神宮のことになります」


「なるほど、伊勢神宮のことだったのか」


「はい。理解できましたか?余談ですがこの直線上にはパワーが集まっていると考えられていて、平城京も配置されました」


「そうなのか!たしかに平城京以前の藤原京はわずか16年と短命だったので、おかしいなとは思っていたんだ」


「そうなの。やはりカタカムナ人のパワーラインを理解している人がいて、急いで御利益のある土地に遷都したんでしょうね」


「しかし、摩耶ちゃんはそんな話をよく知ってるわね」


「さっきも言ったように、ほとんどがメグちゃんの受け売りです」


「ちょっといいかな?今までの話をまとめるよ、いいね?」

 と吉原は大学ノートにメモをとり始めた。


「まず『かごめかごめ』は六芒星のこと。『籠の中の鳥』は鳥居と言うことで日本の神社、『いついつ出やる』は移動システムの本質がいつ理解されると言うことだよね」


「そうです」


「さらに『夜明けの晩に鶴と亀が統べった』はまさに2014年の事なんだな」


「はい、まさに2014年こそが『精神文明』と『物質文明』の大変革期なんです」


「さらに『後ろの正面』は六甲山から見た後ろ(出雲大社)の正面で一直線上にある伊勢神宮を指すわけなんだな」


「はい、ですから伊勢神宮は日本の神社の頂点に位置することを示唆しています」




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