第127話 かごめかごめ 3
「はい、『鶴と亀がすべった』は『滑った』と読むと難しくなります。ですから『統べった』即ち『統合した』と読んだら解釈しやすいです」
「えー、でも『鶴と亀が統合した』ってさらに難解にならない?」
ラスカルが摩耶に詰問した。
「メグちゃんの説明では、カタカムナ人は伊勢神宮を陽と捉え『鶴』、出雲大社を陰と捉えて『亀』と表現したらしいの」
「なるほど。ということは『鶴と亀が統べる時』は『陽の伊勢と陰の出雲が統合する時』なんだな。それはいつの事と説明してるんですか?」
「何か面白い話をしていますね」
階段を降りてきた吉原が話に入ってきた。
「あ、ジョージおじさん!もう館内の見学は終わったの?」
「あらかた見終わったから、今2階から降りてきたところなんだ。ところで『伊勢神宮と出雲大社』が統合する話のように聞こえたけれども?」
「そうなんです。私が彼女たちに童謡のかごめかごめの謎解きをお願いしたもので」
「なるほど。面白い謎解きですね。それは2013年、伊勢神宮と出雲大社の遷宮が60年ぶりに同時に行われたことを指すんじゃないのかな」
大学ノートの記録を見ながら吉原が答えた。
「あ、そういうことが去年あったんですか。でもちょっと待って、もしそうだったら60年おきに行われる行事なわけだから年が特定されないですよね」
ラスカルが考え込む。
「それは2014年のことなの。皇族(伊勢)の高円宮典子様と出雲国造(いずものくにのみやつこ)の千家国麿氏がご成婚されたことなの」
「鶴と亀が統った・・・なるほど、お2人がご成婚された年を指すわけですね。では最後の『後ろの正面だあーれ』はいかがでしょう?」
「うーん。これも難解だな、僕も子供の頃からこの意味を真剣に考えたんだけれども、さっぱりわからなかった」
吉原がV字の指で顎を挟んだ。
「あ、ちょうどあそこに日本地図が貼ってあるからあそこで説明させてください」
と摩耶はベンチを立って、みんなを館内の壁の大きな日本地図の前に案内した。
「石崎さん。ちょっとこの旗をお借りします」
「あ、どうぞどうぞ」
摩耶は石崎から青い旗がついた長い棒を借りて説明した。
「いいですか。今私たちがいる出雲はここです。そして昨日行った伊勢はこちらになります。ちょっとわかりにくいかもしれませんけど、この2点を線で結んでみてください。どこを通りますか?」
「大阪か?」
「まさか私たちの神戸?」
摩耶はわかりやすく2点を長い棒で結んだ。
「「「あ!」」」
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