第126話 かごめかごめ 2

「私も子供の頃から不思議な歌だなぁって思ったわ」


「なんか質問からして、石崎さん曰く『古代人からのメッセージ』らしいの」


「たしか、歌詞は『かごめかごめ 籠の中の鳥は いついつ出やる 夜明けの晩に 鶴と亀が滑った 後ろの正面だあれ』だったわね」


「そうそう。聞けば聞くほど難解な歌詞よね」


「でも大丈夫よ。私の見解に以前メグから聞いた補足説明をしたらなんとかなるわ」


「そうなんだ、助かったわ。じゃあ石崎さんの所へ行きましょう」


 ※


「皆さん、2階にもいろいろ展示してありますからゆっくり見学してください。私は入り口でお待ちしています」

 観光客を送り出して、入り口のそばのベンチに石崎が腰掛けていた。


「石崎さん、かごめかごめの歌の件で回答します。って本当は摩耶さんがやるんだけど」


「あ、さっきの謎解きね。嬉しいな。もうわかったの?」


「大半がメグちゃんの受け売りになりますがいいですか?」


「もちろん。カタカムナ人から見た解釈を是非聞きたいね。じゃあ最初の出だしの『かごめかごめ』からだね」

 ベンチの石崎を挟むようにラスカルと摩耶が座った。


「はい。『かごめ』はその遊び方から『かがめ』ないしは『囲め』の意味と思われていますが、『籠目』すなわち竹で編まれた籠の編み目を表します」

 摩耶が答えた。


「そうなんだ。よくわかったね。僕もその説を支持するよ。じゃあその『籠目』の意味は?」


「はい。籠目の形、すなわち六角形のことで六芒星を指します。昨日伊勢神宮の灯籠に刻印されているのを見ましたよね」


「さすがですね。正解です。では六芒星の意味は?」


「私たちが昨日からお見せした瞬間移動を指します。日本中、いえ世界中を瞬時に移動する意味がマークに込められています」


「六芒星の意味はそう解釈するのか!では次の『籠の中の鳥』は何だろうね。僕は遊郭から出れないようにされた『遊女』のことと解釈してるんだが」


「え?遊女ですか?」

 ラスカルが尋ねた。


「うん。日本の童謡にはなぜか、遊女を匂わせるものが多くあるんだ。例えば『通りゃんせ』や『花いちもんめ』、『指切りげんまん』全部遊女を示唆してるんだ」


「それは少し違います。『籠の中の鳥』ではなくて実は、『籠の中の鳥居』なんです」

 摩耶が説明する。


「そうだったのか。鳥ではなく鳥居だったんだな。ではその意味と次につながる『いついつ出やる』はどう説明しますか?」


「はい、意味は鳥居すなわち『神社の本当の意味はいつ世の中に出回る(理解される)』です」


「あ、私たちが鳥居を使って瞬間移動していることね」

 ラスカルが興奮して答えた。


「なるほどなー。実際に瞬間移動を経験したから、僕もその説明は納得するよ。じゃあ次の『夜明けの晩に』は?」


「カタカムナの考え方は本来『全てが一対』なんです。ですから、これも難解ですけれども『夜明けの晩』と言うのは、全く対極な単語が2つで1つなんです。つまりカタカムナ文明の基本的な考え方を指しています」


「なるほどなー。勉強になります。次がまた難解で僕も匙を投げたんだが、『鶴と亀が滑った』はどう解きますか?」

 だんだん歳上の石崎が敬語になってきた。

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