第125話 かごめかごめ

 灯台見学を終えた一行は、朝食の日本海の幸で作った海鮮丼をおいしく食べた後、バスに乗って出雲大社の横にある「古代出雲歴史博物館」に着いた。


「皆さんここで約1時間の見学をしていただくことになっています。出雲と言えば日本誕生からの歴史の宝庫です。この博物館では古代の歴史を是非学んでほしいと思っております」

 石崎の説明の後、一行は博物館に入っていった。


 1階の展示室

「この展示室では出雲大社、出雲国風土記、青銅器の3つのテーマから島根の古代文化を紹介します」

 青い旗がみんなを先導する。


 説明しながら前を歩く石崎の背中にラスカルが声をかけた。

「ねえ、石崎さん。なんで若い頃から神社に興味を持ったんですか?」


「ああ、僕は前にも言った通り、神社そのものよりその周りに古くから伝わる伝承やしきたり、言葉に興味があったんだよ」


「伝承、しきたり、言葉ですか・・・また何でそれらに興味を持ったのですか?」


「うーん、上手く言えないけれども敢えて言うと『古代人からの隠されたメッセージ』かな?」


「隠されたメッセージって謎解きですか?」


「うん、僕は昔から推理小説やクイズ番組が好きだったから、まあ古代人からのクイズに挑戦したかったのかな」


「具体的に古代人からのクイズって何ですか?」


「具体的かー。じゃあ堀さんは『かごめかごめ』の歌は知っているよね」


「はい、もちろんです。子供のころはよく友人とこの歌で輪になって遊んだものです」


「じゃあ、歌詞の意味はわかるかな?」


「意味ですか?あまり深く考えたことないです」


「じゃあ10分間考えて、後で教えてね」


「はい、摩耶ちゃんと考えてみます」


 ※


「はーい、皆さん。この3本の柱を見てください。これは『宇豆柱』と言って出雲大社から出土された直径1.4メートルの大木を3本重ねた柱です」

 石崎が観光客にガラスケースの中の朽ちた3本の柱の説明をした。


「太い柱ね」


「3本まとまったら相当高い建造物が造られたんだろうなぁ」


「そうなんです。この模型が古代に建造された出雲神殿のレプリカです。なんと神殿までの高さが50メートルもあり、おそらく当時日本で最大の建造物だったと言う話です」


「へー、こんな大きなものが太古の昔にあったんだなぁ」


「すごい建築技術だね」


「しかし誰がどうやって作ったのかな?」

 ガラスケースを覗き込む摩耶の背中にラスカルが声をかけた。


「ねぇねぇ摩耶ちゃん。ちょっと話があるんだけど」


「え?何!」


「石崎さんからの出題で『かごめかごめ』の意味を考えてって言う話なの」


「かごめかごめ?」


「そう、子供の頃に遊んだあの歌よ」


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