第123話 出雲大社
一方、光子の往復で観光客全員は、伊勢神宮から出雲大社へと無事到着した。
「さあ皆さん、揃いましたね。では参詣しましょう。縁結びの神・福の神として名高い出雲大社は古事記にその創建が記されているほどの古社で、主祭神は大国様として馴染みの深い大国主大神(おおくにぬしのおおかみ)です。国譲り神話には、大国主大神が高天原の天照大神に国を譲り、その時に造営されたのが出雲大社の始まりといわれています」
石崎の得意な説明に全員はうんうんと言いながら石段を下っていった。
「さあ、こちらが拝殿となります」
全員の目の前に出雲大社のシンボルである太いしめ縄が現れた。
「さぁ、ここからは自由時間ですので1時間後にこの場所に戻ってきてください。バスで日御碕まで行ってそこで朝食を摂ります」
「堀先輩知ってる?メグが言うには伊勢神宮と出雲大社コースっていうのは、古代で一番行き来が多かったコースらしいの」
「へーそうなんだ。2つともそれほど重要な神社って言う事よね」
「今で言う、新幹線の東京・大阪便と同じように大事な路線だったらしいわよ」
※
1時間後
一行を乗せたバスは国道29号線を通って日御碕灯台に向かっている。
右手には、昨日見た太平洋の海とは全く違う景色の日本海の荒波が広がる。
「みなさん、これから行くのは島根半島の最西端の断崖にそびえる日御碕灯台です。この灯台は明治36年に設置され、高さ約43メートル海面からてっぺんまでは約63メートルと、日本一の高さを誇ります」
マイクを片手に石崎の説明が続く。
バスが灯台の駐車場に到着した。
前方には説明のあった日本一の灯台の白い姿が見える。
「さあ、皆さん。ここから1時間自由行動となります。あちらに見える灯台まで散策してみてください。日本海の絶景がご覧になれますよ」
灯台を目指して歩く摩耶とラスカルは前を歩く吉原に駆け寄った。
「ジョージおじさん。昨日話した私たちがやろうとしているアイデアは本当に可能かしら」
「孤児といじめられっ子にミスマルノタマ装着を教えることね」
「確かに君たちのすごい能力を持ってすれば、日本中の恵まれない孤児たちやいじめられっ子に絶大なパワーを与えて、チャンスと自信になるのは間違いない」
「でも、大人の中にはそれをやられたら困る人たちがたくさんいるよね」
「そうだな。いま現在、権力や既得権益を持った人たちは面白くないだろうな」
「私たちはその人たちを敵に回して戦うことになるんだよね」
「そうなるな。そういう意味では茨の道を歩く覚悟が必要かもしれない。それと・・・」
吉原は歯切れ悪く言葉を遮った。
「それと?」
「いや、あまり言いたくないんだけれども、ふーちゃんたち自身の命を狙われることもあるかなと、ふと思ったもので」
「でも、これだけのことをやるんだったら命賭けでないとダメでしょ?」
「そりゃそうだが、やっぱり『か弱い乙女』には荷が重い気がしてきた」
歩を進める3人の目の前に、巨大な白亜の灯台の入り口が迫ってきた。
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