第122話 国会対策 2

 一方、ウイング内では4人による真剣な会議がまだ続いていた。


 

「いよいよ最後の5番目だな。これもかなり突っ込まれると思うな」

中居が言った。


「せやな、教育に関することやさかいな」


「これも利権がらみになるんだナ」


「5番目は、ミスマルノタマの装着方法の教育についてだが、おそらくこういう質疑応答になるだろう」

 中居がまたノートに書いて説明する。


「問

 どうやったらミスマルノタマを身につけられるか?教師は誰か?

 答

 カタカムナ人と、すでにミスマルノタマを纏った人が教師になる。

 問

 すでにミスマルノタマを纏うことができる教師は何人いるのか?

 答

 現在は2人。

 問

 すでに教育機関はあるのか?

 答

 兵庫県立・影松高校の中に教室を既に設置している。

 問

 このことを校長は許可しているのか。

 答

 許可しているどころか、校長も生徒として参加している。


「おそらくこのような質疑応答になると思うが、管轄の文科省がどのような扱いにするかというのが争点となるだろうな」


「そうなんだナ。政府は教育だけはこちらで管理させてくれと言う可能性があるんだナ」


「教育は大事な事だから突っぱねましう」


「教育もせやけど、やっぱり1番怖いんが防衛上のこれを兵器として使われる場合や。つまり各国の要所に人間を送り込めるわけやからな。せやからここに目をつけないはずおまへんな」


「うーん。政府がこの装置を容認するにしてもしないにしても、いずれにせよ高校生1人での答弁は難しいだろうな」


「流れは大体わかったわ。最悪摩耶ちゃんが困った時は、私が憑依することで乗り切りましょう」


「え、そんなことができるのか」


「あまり使いたくはないですけれども、場の雰囲気に飲まれて押し切られそうになった場合は、SOSを察知して私がバトンタッチします」


「あかん、なんかぐちゃぐちゃになりそうな気がしまんな」


「うん、僕も少し心配なんだナ」


 そのとき「ピンポン」とメグのスマホに着信があった。


「あ、摩耶ちゃんからメールだわ。たしか今は伊勢に行っているんだよね。え?掘先輩のお母さんもミスマルノタマが装着できたらしいわ!さらに出雲までのテスト飛行も成功したって。うれしい知らせね」


「これで摩耶さん、堀さん、さらにお母さんと3人に増えたね。私もいつも練習はしているんだけど、まだミスマルノタマが見えてこない。鍛錬が足らないのかな?」


「何言うてまんねん。中居先生のお父はんもその気になったらいつでも纏えまっせ。せやから現在4人でんな」


「あ、そのことで中居先生ちょっと伺ってもいいですか?」


「なんだ?急に改まって」


「カタカムナ族の頭領アシア・トウアンの末裔のお父さんはすごい能力をお持ちですが、一方で息子の中居先生はまだミスマルノタマが纏えませんよね。何か理由があるんですか?」


「実は・・・私は実子ではなく養子なんだ」




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