第80話 法人攻略作戦 3


バブルの時の社長は結構昔の海軍の生き残りの方が多かった。


この事により海軍マニアの俺はかなり助けられた部分がある。



加えて大体法人の社長と言うものは歴史小説が好きなものである。


であるから当然社長室にの本棚に飾ってある書物には「三国志」とか「項羽と劉邦」とか坂本龍馬、徳川家康などの歴史物の本が並んでいることが多い。


であるから我々証券マンも社長たちが好むような歴史小説は必ず読破している。

ここで大事な事はただ単に「読む」と言うだけではなく「自分の感想を必ず持つ」ということである。


そしてその感想を社長にぶつけて話をするということが大事である。



将棋


社長室には時々テーブルの下に将棋盤があることが多かった。


将棋盤があったら「社長、話はともかく1局やりませんか?」とぶつけてみる。


当然相手は時間がないので「10手だけやらしてください」などと言って時間を短縮して勝負に誘う。


やり始めたら10手で終わるわけがない。

お互い好きなので真剣になって1時間位やった経験もある。


とにかく相手の趣味に合わせて「勉強させてもらう」と言う低姿勢を見せて接近するのである。


社長業というのはとかく忙しいものである。


証券マンが来ると言う事は当然「株を売りに来たな」と理解している。

そんな奴に忙しい時間を割いてでも会う必要は全くない。


逆の立場になって考えて欲しい。

忙しい時に会ってやろうと思うのは次の2パターンである。


1 勉強になるやつ

2 面白いやつ


まず立場上、年もうんと上で社長業をやってる人間にとって若僧で勉強になるやつなんてほとんどない。


だから2番目の「面白いやつ」になろうと努力するわけである。


ちなみに俺は証券会社を辞めて自分で会社を立ち上げて社長業を経験した。

その時にいろんな証券マンが俺の社長室に訪問したものだ。


その時に俺は必ず「5分だけ時間をやるから面白い話をしろ」と命令するがその貴重な5分を生かし切って面白い話をした証券マンに会ったことが一回もない。


現代の証券マンよ!

もっと勉強しろよ!

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