第56話 逆ナン攻撃 3



「おーい太田、5番に電話だ、〇〇証券の××さんと言ってるぞー」


「はいわかりました、代わります!」

「あの太田さんですか、前回コンパで一緒していただきました〇〇といいます」

「ああ、〇〇さん前回はありがとうございました。盛り上がりましたね」


「はい、それで来週スキーに一緒に行きませんか?こちらは女性7人で行きますので同じ位の人数を揃えてください」


「はいわかりました。ではこちらは男性7人を揃えときます」


この〇〇証券と言うのは4大証券ではなく準大手証券と呼ばれる証券会社である。


われわれ自身はそんなに偉いと思ってなかった「4大証券」というブランドが準大手証券の女性陣にとってはいわゆる金字塔であった。内実は大馬鹿の集まりであったが勝手に向こうがそう思っていただけることは喜ばしいことである。


4大証券の社員と付き合っているって言うのは彼女たちにとって社内での最高のプライドかつステータスだったのである。

大馬鹿の集まりとも知らずにである。


ましてこれが中小地場証券の女性たちともなると我々と付き合っているというだけで「スター」的な存在になる。

大馬鹿の集まりとも知らずにである。


そしていよいよスキー当日


行きのバスの中から男女一対で座り、すでに酒が入り即席キャバレー状態。

大馬鹿の集まりであるから仕方がない。


そして夜通しでバスは走りスキー場に無事到着。


もちろん日中はスキーに全員勤しむのであったが夕方になり食事が終わり酒が入りカラオケが始まり、問題はその後である。


われわれ4大証券マンの部屋に枕を持ってやってくる準大手証券女性社員。


当然彼女たちにとってはそれがメインイベントなので攻撃は執拗かつ積極的であった。


部屋の前では「私が先だ」「いや私が先だ」と争っているほほえましい風景も見て取れる。


我々が大馬鹿の集まりとも知らずにである。


実際にこのスキーイベントの後に増資が行われ(証券業界用語で子供ができること)めでたく結婚に至ったカップルが何組もできた。彼女たちにとっては攻略成功事例である。


このように今考えれば全く何もしなくても勝手に向こうから若い女性がやってくると言う事が当たり前のようであった。


今や昔である

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