第55話 逆ナン攻撃 2
7月1日 日曜日 10時半 社員寮にて
太田くんが日曜日にもかかわらずくだらない激務を終えて証券会社の寮に帰ってきて部屋の電気をつけた瞬間である。
「太田さん電話が入っています」と館内スピーカーから寮母さんの声がする。寮母さんは非常にいい人で社員全員から慕われていた。
「はーいすぐ行きます」と1階の公衆電話に行き受話器を取る大田君。
「あのー、太田さんですか?隣の寮の○○といいます。今さっき帰りましたよね。今から一緒に飲みに行きませんか?」と女性の声で飲みに行く誘いをする内容の電話であった。
「あ、はい。でも今10時過ぎてますよ、大丈夫なんですか」
「はい明日は私は非番で休みなので大丈夫です。今からでも会いたいです」と言う熱きラブコールであった。
当時、我々の証券会社の寮の隣には○鉄百貨店の女子寮があった。同じ5階建てで結構大きな寮であった。そこに住む若い姉ちゃんの人数も100名を軽く超えていたと思う。
我々の窓からいつも女子寮の建物が見えていた。ということは逆に向こうからもこちらの全容が見えていたはずだ。
我々の寮は独身者しか入れないルールであった。彼女たちにとっては独身の証券マンの巣である我が寮は「宝船」に見えていたはずである。
当時はこの2つの独身寮はお隣さん同士の関係なので月に一回は彼女たちをこちらの寮に呼んで親睦パーティーをやっていた。
寮母さんの発案である。本当にいい人だ。
中庭でバーベキューをやって酒をたらふく飲んで盛り上がっていたものだ。懐かしい。
問題なのはここからで、彼女たちは我が寮に入ってくるとすぐに入り口の壁にかけてある部屋の番号と名前をメモするのであった。彼女たちにとってはパーティよりむしろこの情報収集がメインであった。
そこで我々が夜遅く帰ってきたら部屋に電気がつくとそこが何号室で誰が住んでいると言うのは先程のメモによって彼女たちは把握している。
我々が部屋の電気をつけた瞬間に隣の寮から見ていてすぐに電話コールがあるのである。ストーカーもびっくりである。
本当に自分たちの生活が見られているようで気恥ずかしかったが若いデパートガールに誘われる事はまんざら悪い気持ちではない。
もちろんそのあとは一緒に飲みに行きやる事はやって日頃の仕事で鬱憤の溜まったデパートガールの性的欲求を満たしてやって帰るのであった。
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