第7話 株嫌い客への投資信託攻撃
3月10日 午後6時
「太田さん、何度言われても株は絶対やりません。これはお父さんからの遺言なんです。貯金ものだったら考えてもいいけど・・・」
「だったら奥様、投資信託にしましょう。4年もので最初の2年間は出金できませんが、4年満期の貯金みたいなものですよ。しかも今でしたらいい利率で回ってますよ。これにしましょう!!」
「でも太田さんそれは、元本確定じゃないでしょ?」
「たしかに確定ではないですけど、当社の投資信託に限って元本を割り込むことは絶対ありませんから、是非お願いしますよ。とりあえずこの中ファン(中国ファンド)の1000万だけでも乗り換え、お願いします」
「じゃあ今度きりよ」
この奥様は本人は気付いてないが、この瞬間お父さんの遺言を破った事になる。
すなわち投資信託(ファンド)とは、不特定多数のお金を何千億も集めて、その投資信託委託会社が「いける」と思った商品に無許可で投資してもよいシステムである。
つまりこの場合株式型投資信託であれば(まあだいたいそうだが)「1000万円でどうぞ好きな株を好きなだけ買ってください。そして好きな時期に売ってせいぜい儲けてくださいな。」と言ってるのと同じ事になる。
同じく債券型投資信託というのもあるが、こちらはたいてい70%が債券で30%の株の運用で利益(損益?)をあげるタイプで、割りにリスクは少ないが奥様が言うとおり元本保証からは程遠い。
いずれのタイプにせよ「~投信」と名がつけばもうそれだけで、投資する物の差こそあれ投資側がリスクを負うものである。
その事の説明をきっちりすると客が逃げてしまうのでうまくぼやかしてかわすのがワザである。
その証拠にバブル時に設定した投資信託で現在半値くらいのものはザラにあるのが現状である。
天国のお父さんの怒り顔が目にうかぶようだ。
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