師匠
「ほ、本当ですか?」
やったー。まさかこんなにすぐに承諾してくれるなんて思ってなかった。
「と、言いたいところだが無理だ。」
「え!?無理なんですか?」
「あぁ。」
「あの、どうして……」
「人間の体はこの空間には早くて三日。長くて一週間しかもたないからだ。」
魔力量を増やすには幼い頃、生まれてから5歳までに魔力を沢山消費するか、魔素の濃い場所で暮らすしかない。俺は10歳だから魔力量を増やすには魔素の濃い環境で過ごさなければならない。ダンジョンは魔素が濃い場所だ。だがリスクもある。魔素が濃い環境に体が慣れなければ死に至る。特に魔素が濃い最下層だと長くて一週間くらいしかもたない。
「知ってます。」
「ん?なら何故修行をつけろと?」
「俺ならこの空間でも生きていける。」
「ほぅ。なら、一週間耐えたら修行をつけてやる。が、死にそうでも助けてやらんぞ。」
「はい。ありがとうございます。」
「あーそれと水や食料は奥の部屋にある。好きに使え。金もあるが持ち出そうとするなら………わかってるな?」
その瞬間おじさんの凄い殺気が放たれる。
「は、はい。」
俺が返事をすると殺気はなくなった。
俺は一週間耐えれば修行をつけて貰えることになったが、一週間だけ耐えたところで意味はない。最下層にずっと居ても平気じゃないとダメだ。だが俺には考えがある。
魔素の濃い環境だと何故体が耐えられないのか。それは多分一気に魔素を取り込んでしまうからだ。だから耐えられない。なら一気に取り込まないようにすればいい。そう考えた俺は創造召喚で剣を作った。名付けて吸魔遅延剣。俺はこの剣を自分の胸に突き刺した。
それを見ていたおじさん。
「ん!?何をやってるんだ小僧?」
「あ、気にしないでください。体に害はないので。」
俺は笑顔でそう伝えるとおじさんは「ふん。」と鼻で笑った。
俺が刺した吸魔遅延剣は体に傷を付けない。魔素を徐々に取り込むようにしてくれる剣だ。これを薬のように1日3回自分の体に刺す。朝昼晩だ。最初は何ヶ月も効果が持つようにしようと思ったがもしかしたら割と早く体が慣れるかもしれないと思い1日くらいの効果にした。これで最下層にいても大丈夫だ。
俺は腹が減ったのでおじさんが言っていた奥の部屋に向かう。中には大量の水と食料があった。(一体何年分あるんだ?)そう思っていると、奥にも扉があり開けて見た。見るとこれまた大量のお金があった。(これいくらあるんだ?全部白金貨だし。)
この世界のお金は
銅貨1枚 1円
大銅貨1枚 100円
銀貨1枚 1000円
大銀貨1枚 1万円
金貨1枚 100万円
大金貨1枚 1000万円
白金貨1枚 1億円
となっている。
とりあえず食えるだけの食料と水を持ち戻る。戻ると、おじさんに声を掛けられた。
「小僧、今更だが名前は何というんだ?」
確かにお互い名乗ってなかった。
「はい。レウスと言います。」
「そうか。わしはガルバラだ。ところで、さっきはあの不思議な剣を何処から出した?」
「えっと、召喚しました。」
「召喚士か?」
この問いに俺は素直に言おうか迷ったが素直に言うことにした。
「創造の召喚士です。」
俺は自分の職業の能力とここに来た目的をガルバラに話した。
「そうか。よし、レウスよ。修行を始める。」
「え?まだ1日も経ってないですけど……。」
「あぁ。だがお前ならここに居ても大丈夫なことがわかった。それに一週間退屈にしていたのでは勿体無いだろ?」
「それもそうですね。では改めてガルバラさんよろしくお願いします。」
俺がそういうと、ガルバラは少し怖い顔になって
「師匠と呼べ。」
「っ!?よろしくお願いします師匠。」
「あぁ。」
こうして俺はガルバラ師匠に剣の修行をつけて貰えることになった。
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