ダンジョンボス

「うわぁぁぁあ!」


剣はウサギを貫き闘技場を貫き………。

剣が速すぎて自分でもどこまで貫いて行ったかわからないが、そのせいで足場が崩れ俺はどんどん落ちて行く。落下中剣を操作して自分の元に戻す。止めるか戻さなかったらこの星を貫通して行くと思ったからだ。


底が見えない。落下してるが底が見えない。(このまま落ちたら確実に死ぬ。)そう思い、背中の全反射剣を投げたが音は聞こえない。

だがようやく底が見えて来た。俺は全反射剣を確認し移動した。


「はぁ。あ、危なかったぁ。しかし何階だここ?」


辺りは瓦礫でいっぱいだが、全反射剣はちょうど瓦礫がないところに突き刺さっていた。

俺は目の前の瓦礫を絶対切断剣で切り進む。

すると豪華な装飾が施された大きな扉が出てきた。


(あぁ。多分ここが最下層だなぁ。)


直感でそう思った。俺は全ての剣をしまう。もともとダンジョンボスとは戦う予定ではないからだ。扉を開け中に入ると王様がいるようなところだった。玉座と思われる所に黒い鎧を着た白髪のおじさんが頬杖ついて足を組み座っている。


「あ?久しぶりの来客かと思えば子供じゃねーか。」


おじさんが言葉を放った瞬間物凄いプレッシャーが襲いかかってきた。倒れそうになりながらも何とか耐えた。


「あ、あんたがここのダンジョンボスか?」


おじさんはニヤリと笑い


「ほぅ。わしの殺気に耐えるか。小僧なかなか見所があるぞ。」


おじさんがそう言った瞬間プレッシャーがなくなった。


「で?わしがここのダンジョンボスだったら何なんだ?」


(やっぱりこのおじさんがダンジョンボスか。)

俺は正直勝てる気がしなかった。創造召喚は強いけど、それだけじゃ勝てると思えなかった。

(まぁ勝てなくていいんだけど。)

ここに来たのはダンジョン攻略が目的ではない。


「あんたに頼みがある。いや………。お願いします。俺に剣の修行をつけてください。」


俺は頭を下げて言った。すると、おじさんは


「アッハハハハハ!わしに剣の修行をつけてください。か……。ダンジョン攻略に来て、わしを倒そうとしたやつは山程いるが、修行をつけてくれと言ったのは小僧、お前が初めてだ。」


「そ、そうですか。あはは。」


まさかそこまで笑われるとは思っていなかった。


「小僧。」


「はい。」


「修行をつけてやる。」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る