前のエピソード――道経１２　道を感じること　

寵愛や屈辱を受けること、

どちらに対しても過敏になる。

寵愛をもたらされること、

失うこと。

誰か他者からの評価を基準とし、

身の振りようが規定されてしまうのだ。

様々な面倒ごと、厄介ごとに

いちいち心煩わされる。

自分と言うもの、すなわち、自我。

そこに意識が向き過ぎるから、

諸般の物事に煩わされるのだ。

物事に接する自分を、

あくまで一つの現象として見る。

そうすることによって、

心が波立つことは減ってこよう。

これらはいずれも、

自身と道との接続を

見失っているがゆえに

生じる事態である。

天下万物は道から生じている。

が、それ以前に、

まず自分自身が道の派生である。

故に、優先すべきは我が身の全うである。

仮に天下を預けられる者が

いたとしたならば、

それは天下よりも自らを

尊しとしているものであろう。

仮に誰かに

天下を任せるとしたならば、

それは天下よりも自らを

大切にしているものであろう。

我が身を全うする。

何を為すにせよ、

この起点をないがしろにすれば、

その先のすべてが揺るがせとなろう。

○道経13

寵辱若驚　貴大患若身

　寵辱に驚くが若くす

　大患を貴ぶこと身の若くす

何謂寵辱若驚

寵為下　得之若驚

失之若驚　是謂寵辱若驚

　何をか寵辱を驚くが若しと謂う

　寵の下さるを為したるに

　之を得るに驚くが若くし

　之を失うに驚くが若くせば

　是れを寵辱に驚くが若くすと謂う

何謂貴大患若身

吾所以有大患者

為吾有身

及吾無身　吾有何患

　何をか大患を貴ぶこと身の若しと謂う

　吾が大患を有したる所の所以は

　吾れに身の有りたるが為なり

　吾が身の無きに及ばば

　吾れ何ぞ患いたるを有さん

故

貴以身為天下　若可寄天下

愛以身為天下　若可託天下

　故に貴びたるにては

　身を以て天下と為さば

　天下を寄すべくが若しとす

　愛したるにては

　身を以て天下と為さば

　天下を託すべくが若しとす

○蜂屋邦夫釈　概要

世間の評判に一喜一憂せぬようにせよ。良い評判も、悪い評判も、こだわれば振り回される。そこから縁遠くあれば、なんの災いがあるだろうか。

○0516 おぼえがき

３章の「虛其心實其腹　弱其志強其骨」に接続してくる話なのだろうなあ。心や志が強い状態だと、寵辱や大患に振り回されてしまう、そうじゃないんだよ、まず身体を充実させ、心をフラットにしておこうね、的な。自分自身の心身を全うしておいて、初めて道の境地にたどり着けるんだよ、と言う。

それにしても、「国民もまた道に接続された境地に辿り着いているならば」道徳経に言う理想の統治は成せる気もするのだけど、問題は道徳経において「国民全員を道に接続させる」手段が載っていないことであってだな。「道徳経を読め」というのであれば、人間の怠惰さをちょっと甘く見積もり過ぎだし、というかこうして今読んでる俺も到底道に接続できる気がしないわけで。

様々な外部要因に心惑わされないようになって、心身を全うすることを考えよう！　そうすればいろいろうまくいくよ！　うん、そこまでは非常に同感なんだ！　じゃあどうすれば心惑わされないようになるのかな！　そこについては各員の研鑽を期待する！　以上！　解散！

じゃねえよクソが。