心が静かに抉られるような、静謐な痛みを孕んだ素晴らしい作品ですね。
句点によって紡がれる言葉が、感情とは少し離れたところで淡々と語られている物語のような感触となっているのも面白いですね。
だからこそ惹き込まれたようにも感じます。
目に見える暴力より、目に見えない静けさを纏った暴力の方が今の世には飽和するくらい溢れているのでしょうね。
そして自分も知らないうちにその内の一人になっているのだろうとも思ってしまいました。
作者からの返信
読んでくださってありがとうございます、雨音さん。
どう反応していいのかわからないような、現実感を喪わせるような痛みを表現したくて書きました。
「ぼくはぼくのこころがゐないあいだに/世界のほうぼうで起ることがゆるせないのだ」
好きな詩人がそう書いていましたが、見えない場所で行われている暴力や不条理は膨大すぎて、どう考えていいのかわかりません。存在しているだけで加害者のような気もしてしまいます。
なんだか長々とした返信になってしまい、すみません。コメント、ありがとうございました。
koumotoさんらしい乾いた語り口が凄惨な世界をより引き立てていますね。
爆撃機をトンボと表現することが秀逸で絶望感をより掻き立ているいるように感じました。現代の戦争は殺す側のゲーム感覚、痛みの無さが残酷さをより加速させているように思います。
作者からの返信
読んでくださってありがとうございます。自分が食べて、飲んで、寝て、ぼんやりと日々を過ごしているあいだにも、殺戮はずっと続いているんだな、などと考えることがありますが、その納得のいかなさを少しでも表現したかったです。無人機が民間人を殺害した、というニュースを見ると慄然としますが、同時に慣れてしまってもいます。慣れたくはないのですが。