第17話

☆☆


 思えば、どうして彼に惹かれたのだろう。

 明確なきっかけはわからない。

 いつの間にか好きになっていた。

 もしかしたら出会ったそのときには恋に落ちていたのかもしれない。

 私がどんなに育っていく想いを閉じ込めたいと願っても、彼と話しているだけで満たされてしまう自分の心がよくわかった。

 彼がうれしそうに笑みを浮かべていれば、私もうれしくなって笑みを浮かべることができた。

 彼が悲しそうにうつむいていれば、私も悲しくなってうつむくことしかできなかった。

 彼の心と私の心は一つだった。

 彼の表情はまるで少し未来の私を映す鏡のようだった。

 あのときまで、私はそう思っていた。

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