第3話
☆☆
私は一人だった。
今も昔も、それは変わらない。
そう……私は、ずっと一人きりだった。
以前は多くの人々に囲まれ、多くの想いに包まれていた。
しかしその中に在っても、私が一人で在ったことに変わりはない。
皆が幸せを感じていれば私も幸せだったし、皆が悲しんでいれば私も悲しかった。
それでもその想いは、私自身から生まれたものではない。
だから、私はずっと……一人ぼっちだった。
そして……人類と呼ばれた種の全てが滅び去ってしまった今。
私は誰もいないこの部屋の中、ただ一人、在り続ける。
人は皆、自ら死を願ったのに、私だけはそれすらも許されなかった。
未来永劫、私が終わるそのときまで続くであろう、孤独な世界。
その中で私は、たった一つの思い出だけを糧に在り続ける。
これからを思えばそれはほんの一瞬、星の瞬きのような刹那のとき……そんなわずかな時間でもたった一人、彼だけは私を私として見てくれた。私に名前を与え、その名を呼んでくれた。
だから、これから続く永遠の時も……この色褪せることのない記憶さえあれば、それは――悲劇ではない。
例えそれが、永遠に続く一人ぼっちの世界であっても……
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