帰郷

春風月葉

帰郷

 輝いていた街は潮風に錆びてしまいその面影もない。

 馴染みの商店街は活気を失い、閉じたシャッターが自分を拒んでいるようだった。

 電車も滅多に通らない細い線路に沿って歩く。

 煌びやかな世界に憧れて上京したはずが、故郷の温かな光が恋しくて帰郷した。

 その故郷ももう冷たくなっているとは知らずに。

 勢いよく飛び出した私を誰も止められなかった。

 沈んだ様子で戻ってきた私を誰も気に止めなかった。

 もうここに私の居場所はないのだろう。

 故郷の記憶は錆びてしまった。

 もう一度、あの煌びやかな光の下へ。

 私はまた繰り返す。

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帰郷 春風月葉 @HarukazeTsukiha

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