帰郷
春風月葉
帰郷
輝いていた街は潮風に錆びてしまいその面影もない。
馴染みの商店街は活気を失い、閉じたシャッターが自分を拒んでいるようだった。
電車も滅多に通らない細い線路に沿って歩く。
煌びやかな世界に憧れて上京したはずが、故郷の温かな光が恋しくて帰郷した。
その故郷ももう冷たくなっているとは知らずに。
勢いよく飛び出した私を誰も止められなかった。
沈んだ様子で戻ってきた私を誰も気に止めなかった。
もうここに私の居場所はないのだろう。
故郷の記憶は錆びてしまった。
もう一度、あの煌びやかな光の下へ。
私はまた繰り返す。
帰郷 春風月葉 @HarukazeTsukiha
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます