テンプレ利用が多くなる理由

@akira404

テンプレ利用が多くなる理由

///前書き///


 テンプレ利用が何故多くなるのかを考えます。テンプレ一般の話であり、「なろうテンプレ」などテンプレの内容には言及しないです。


 これは単なる考察で、何かアドバイスするものではないです。テンプレを使う際の注意点は別記事「テンプレの使い方」に書いてあります。テンプレから外れたい読者と作者には検索機能を上手く使うことと、運営さんに要望を出すくらいしか提案できません。


 ざっくり言うと「テンプレの性質」「サイトの構造がテンプレ普及を加速する」という話をします。この記事で言うテンプレには、設定、展開、文体などが含まれますが、「テンプレ」をコンテクストとかジャンルと読み替えても大体差し支えないと思います。


 着想元は、異島工房さんの「異世界転生ものに関する哲学的省察」です。テンプレについて触れた記事は他にも、左安倍虎さん「埋もれた名作は、なぜ埋もれたままなのか」、結城藍人さん「なろうテンプレの正体」などがあります。



///考察///


 テンプレの誕生から考えます。最初に、ある面白い設定や展開があるとします。作者当人や他の作者が、これを面白いから(盗作にならない範囲で)流用します。流用が多くなると、これらがテンプレとして定着することになります。


 テンプレを使う利点について考えると、テンプレ自体が持つ面白さの他に、テンプレ利用で作った余裕を、オリジナルの面白さを作ることに費やせるという利点が挙げられます。もう少し詳しい話は「テンプレの使い方」を読んでください。


 サイトの構造から受ける影響について考えます。理由は後で述べますが、最も大きいのはランキングの存在で、特にランキング方式が「評価の平均」だけでなく、「評価人数」が影響していることが大きいと思います。この「評価人数」は読者数に大きく影響を受けます。ただし、単純な評価の平均だと、評価人数が少ない時に極端な位置になりやすく、また低評価は心理的に付けにくいことから満点評価がデフォルトになりがちなので、ある程度はランキングに評価人数を考慮するのは仕方のないことだとも思います。


 まずランキングが読者に与える影響を考えます。作品を探す時には、ランキング上位から探すことが多いので、ランキング上位に入ること自体が読者を増やします。また初めてカクヨムに来た人は、読みたい作品があるかどうかを判断するのにランキングを参考にするので、カクヨムに定着する読者層はランキング上位のジャンルに偏ります。これらの影響により、まず読者がランキング上位に偏ります。


 読者の偏りが作品数に与える影響を考えます。読者が作者になる場合、読者の好みが作品にも反映されるので、読者の偏りが作品数の偏りを作ります。またウェブ媒体では読者の声が作者に届きやすいので、次の話以降が読者に影響されがちであり、これも読者の偏りが作品の傾向に偏りを作ることになります。


 ランキングが作品数に与える影響もあります。より多くの読者を得たい作者が、ランキング上位を参考にして書くものを決めるというものです。また、あらかじめ書きたい作品が決まっている作者でも、ランキングを見てカクヨムに投稿するかどうかを決めることも考えられます。これらの影響から、ランキングが作品数の偏りを作ります。


 ランキングがテンプレに与える影響もあります。テンプレの利点の一つである描写の省略をするには、テンプレが周知されている必要があるので、ランキング上位にあるテンプレほど使いやすいことになります。


 ランキングの表示数の少なさが多様性の減少に拍車をかけることもありますが、表示数を増やしても見る側がそこまで多く見るわけではないので、限界はあると思います。


 以上のことから、サイトの構造、特にランキングがテンプレの普及を加速していると考えることができると思います。



///テンプレ普及に対抗する要素///


 カクヨムには多様性を確保するための機能も実装されています。ジャンル別ランキングは少なくとも複数のジャンルの存在を許します。また、タグ検索などの検索機能も、ランキングに依存しない作品探しを可能にするので、読者の多様性を確保するのに役立ちます。


 文体のテンプレ化はサイトの表示方法が大きく影響し、Twitter連載とか携帯小説は表示できる文字数が限られるので文体にも影響が出ますが、カクヨムでは表示面積が広く文字数制限も特にないので、段落ごとに一行空けるなどの傾向はあるものの、それほど影響はないと考えられるでしょう。



///終わりに///


 これらの傾向を悪用して、マーケティング目的での複数アカウント自己評価とか、タグ汚染とか、そういうのは読者がカクヨム自体から離れるからやめましょう。

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