第29話 ●モニタリング 44889号
○月○日
本日、提案を許諾したのは三十八名、拒んだ者はゼロ名であった。
これで提案を許諾したものは累計六万八千四百二十五名。
人類滅亡を回避できたのは0.40%の二百七十三名。
人類滅亡を待たずして死んだ者は25%の一万七千三百二十一名。
人類滅亡と共に死んだ者は65%の四万四千四百七十六名。
経過観察中が9%の六千三百五十五名となる。
人類滅亡回避率の低下がやや懸念材料となる。
今後は、強度の高い被験者選択へと移行する想定。
今回は特Aモニタリング対象の藤堂 雄一(被験者No.000054248)
について、一次レポートをまとめる。
被験者の現在の名前はエルスティア・バルクス・シュタリア。現時点で七歳六ヵ月となる。
彼については、特例として現時点で四つギフトを付与している。
・統率に優れた才能を持つ仲間
・政に長たけた仲間
・技術全般に精通した仲間
・転生前世界にある技術・知識が記載されている数多の書物
我々の意図を読み取ったのか自身ブーストへの付与を行っていない。
ご承知のように、被験者全員に隠れギフト『
本人の不断の努力により、いずれはギフトで付与される能力を超えることも出来る、ある意味チート能力である。
だが、ギフトで付与された者達は、もらった能力に満足し、努力を怠る…
まさに『怠惰』の大罪である。まことに人間は愚かで面白い。
そしてこのゴッド・ブレスには七つの壁が存在する。
壁を越えられなければ能力はそこで頭打ちになる。
壁の越え方は千差万別だ。
いまだかつてその壁を全て越えられたものはいない。最大でも六つまでである。
最速で越えたものは八歳だったが、被験者は己が鍛錬により、
魔法の深淵の一部を覗くことにより、一つ目の壁を越えた。
これからも努力を継続できる素養は認められたと考えてよいだろう。
これは六百四十二番目の成功例かつ最速での達成となる。
ここから先ずは、『見えぬ脅威』を予見し、対抗案を提示できるかが次の確認ポイントとなる。
以上、報告終了
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