【GM用】シナリオ
【オープニングフェイズ】
・シーン1:突然 PC①
UGNエージェントのあなたは、最近は珍しく事件が起こらなかったため、世を偽る仮の姿で、つかの間の平和な日々を満喫していた。そんなあなたの元に、あなたの上司にあたるUGNA市支部長伏見時臣から連絡が入る。
時臣:「PC①か?私だ。今どこにいる!」
「すぐに支部まで出頭したまえ。君には一般人の殺害と、UGNへの離反の嫌疑がかかっている。」
「即座に出頭しない場合は、そちらに拘束部隊を差し向ける。」
あなたには、一般人を殺害した覚えもなければ、UGNから離反しようとしたこともない。時臣は30分以内に出頭しない場合には実力行使に出ると告げて通信を切ってしまう。通信が切れてPC①がボーっとしたところでシーンをカットする。
次のシーンではあなたは支部に向かっても向かわなくともよい。ミドルフェイズまでの間に考えておくこと。
・シーン2:追討 PC②
あなたはUGNA市支部の支部長室に呼び出されていた。支部長室には支部長の伏見時臣と高校生のUGNエージェントの中野弓月がいた。弓月は部屋の隅の椅子に座り顔を両手で覆っている。酷く衰弱しているようだ。
時臣:「ああ、PC②君。ご苦労。今回君には、ある討伐任務に加わってもらいたい。」
「討伐対象は、残念ながら我々もよく知っている人物だ。そう、PC①だ。」
「PC①はここにいる弓月君の妹を殺害して、現在逃亡中だ。一応支部の方に出頭するように連絡はしておいたが、十中八九来ることはないだろう。」
「そこで、君と弓月君にはPC①の捕獲を頼みたい。ただ、相手も歴戦のオーヴァードだ。捕獲が叶わない場合は、処分もやむを得ないと考えている。」
「PC①は近年多発しているコードウェル博士の帰還に伴うUGNからの離反を企てて、弓月君の親族を殺すことでこのA市支部の混乱を狙ったのだろう。弓月君は年が近いチルドレン達のまとめ役でもあるからね。彼を失うことは我々にとってとても大きな痛手だ。」
弓月:「PC①は、仲間だった。でも妹が殺された夜、俺は俺たちの家から出てくるPC①を見たんだ。」
「俺は妹を守れなかった。仲間だった、仲間だったんだ…でも、アイツは殺すしかない。」
時臣:「弓月君。気持ちは察するが、一応捕獲が第一条件だよ。」
「さて、PC②君。弓月君と共に早速PC①の元に出立してくれたまえ。ああ、万が一PC①が出頭に応じた場合は、私が自らこの杖で彼の相手をするよ。勿論容赦はしない。」
PC②が時臣の依頼を承諾したところでシーンをカットする。
・シーン3:不穏 PC③
フリーのUGNエージェントであるあなたは、霧谷雄吾に呼び出されていた。
霧谷:「こんにちは。PC③さん。」
「早速ですが本題です。最近A市で不穏な動きがあるのです。」
「A市で中心的な役割を果たしている。中野弓月さんというエージェントの妹さんが殺されてしまったのです。現場の状況から見るに明らかにオーヴァードの仕業でした。」
「容疑者は同じくA市支部所属のエージェントのPC①さんです。現場で彼の姿が目撃されています。」
「しかし、奇妙なことが1つあります。犯行があったと思われる時間に私はPC①さんと会っているのです。私が不定期に開催している、エージェントの慰労会にPC①さんは出席されており、私の手料理を食べています。」
「今回の事件は、謎が多いように感じます。弱った支部がFHに接収されてしまう事案も多発しています。なんとかPC①さんを保護して頂けないでしょうか。まずは、A市支部に向かってください。」
PC③が霧谷の申し出を承諾したところでシーンをカットする。
【ミドルフェイズ】
・シーン4-1:強襲 PC②(PC①が支部に向かわなかった場合)
PC①は支部に出向かないことに決めた。PC①とPC②に登場を求める。
PC① 知覚:8
判定に成功した場合、あらかじめPC②と弓月の接近に気づくことができる。逃げることも可能だが、その場合弓月と演出戦闘となる。浸食率の上昇はないが以降の情報収集が困難になるのでお勧めはしない。
弓月:「PC②、俺は裏口を見張る。正面から攻め込んで挟み撃ちにしよう。」
弓月はそう言うと、裏口に回ってしまう。
PC②は正面からPC①の拠点に入っていく。PC①はここで自身が潔白であることをほのめかすロールプレイが出来れば、PC②と以降情報の共有ができる。PC②が納得しなかった場合、演出戦闘の後別個に情報収集フェイズへと移行する。
その後PC②にこの時連絡が入る。
時臣:「PC②君。霧谷支部長から今回の件で応援が派遣された。これが連絡先だ。今回も余裕をもって優雅に解決するんだよ。」
以降PC②はPC③と情報が共有できるようになる。PC②とPC①が和解している場合は、全PC間で情報共有は有効となる。
シーンをカットする。
・シーン4-2:説得 PC③(PC①が支部に向かった場合)
PC①は支部に出向くことに決めた。PC①とPC③に登場を求める。
PC①が支部に着く直前、一台のベンツが行く手を遮った。そこから降りてきたのはPC③である。PC③は目的の人物が目の前にいることに気づいてよい。
その直後、支部から大きな赤い宝石をはめ込んだ杖を手にした紳士が出てくる。伏見時臣である。
時臣:「PC①、一度は同じ釜の飯を食した仲であっても、我々は敵同士。再び相まみえたのなら誅を下すほかあるまい。覚悟。」
ロッドを構える時臣に対して、PC③は霧谷が再調査を命じていることを説明しなければならないだろう。
時臣:「霧谷支部長は、逆賊の肩を持つというのか。我々の調査を信用して頂けないというのならば、仕方がない。全てのエージェントに告げるPC①と彼(彼女)を擁護する一派を一掃せよ。」
「霧谷支部長には結果を示して認めて頂くしかあるまい。」
PC③とPC①は逃走が図れる。車に乗り込めば簡単だろう。
PC②にはこの時に時臣からの情報としてPC③の情報が、PC①の協力者として配布される。全PC間での情報共有が可能となる。
PCが一応の合流をしたところでシーンをカットする。
【情報収集フェイズ】
・a-1殺人事件について
情報噂話:7
昨夜の夜8時頃に発生した事件で被害者はUGNエージェント中野弓月の妹中野未羽。彼女は一般人である。中野家の未羽の私室で遺体は発見されたが、室内はオーヴァード能力が使われたとしか思えない惨状であった。公的には爆発事故となっている。第一発見者は兄の弓月であり、自宅に入る際玄関前でPC①と出会っている。
・a-2a事件の影響
知識レネゲイド:9
今回の事件で容疑者、被害者双方に強いつながりがあった中野弓月の体内ではレネゲイドが活性化しており、非常に危険な状態である。
・a-2b監視カメラの映像
知覚:15
中野家の玄関付近を撮影していた近所のコンビニの映像を分析すると、PC①に見えていた人物がイージーエフェクト天使の外套で変装した別人(伏見時臣)であることが分かる。(c-1を開示していた場合イベントシーンを選択した時点で、トリガーシーンへ移行する)
・b-1中野弓月について
情報UGN:7
UGNチルドレン出身のエージェント。年齢柄後輩のチルドレンたちのまとめ役を務めることが多い。面倒見がよく指導生からの信頼は厚い。彼が一声かければ、A市支部の半数の勢力を動かすことも不可能ではないだろう。PC①、PC②とは同僚。家族構成は病弱な母親と妹の未羽のみ。未羽が亡くなったことで、今朝方母親がショックで入院してしまい、不安定な精神状態にある。
・b-2中野弓月の影響力
情報UGN:9
彼の求心力はA市支部の中で非常に大きい。このため彼がFHに鞍替えしたり、ジャーム化した際にはA市支部は瓦解する可能性がある。またこの際FHが支部の機能を維持したまま接収してしまうことも近年の事例から充分に考えられる。
・c-1伏見時臣について
情報UGN:7
貫禄と実力を兼ね備えたA市支部支部長。炎の扱いに長けており、部下が対処不可能な事態には自ら戦場に向かう行動派。穏健派の霧谷とは反りが合わないときがある。中野弓月、PC①、PC②の直属の上司である。(a-2bを開示していた場合イベントシーンを選択した時点で、トリガーシーンへ移行する。伏見時臣が天使の外套で変装していることに気づくため。)
・d-1霧谷雄吾について
情報UGN:7
日本支部支部長。料理が得意であり趣味でもある。年に数回、多忙な中手料理を振舞う慰労会を開いており、昨夜もA市の隣町で開いていた。霧谷雄吾の慰労会に出席していた多くの参加者が昨夜の夜8時頃PC①を慰労会会場で目撃しており、霧谷自身もそう証言している。霧谷は国内全ての支部長の上に位置するので、当然伏見時臣の上司でもある。
【イベントシーン】
・シーン5:弓月 適切なPC
*このシーンはc-1とa-2bの両方の情報を開示していた場合、発生しない。これはこの2つの情報が開示される時間が経過した時点で、PC①を探しA市中を駆け回り、疲弊した弓月の心身が時臣に懐柔されてしまうためである。
弓月に会いに行くと発生。弓月はPC①を探して血眼になってA市市内を捜索している。PC①がまともに話をして貰うためには情報a-2bを示すしかないが、彼はそれを信用しようとしない。
弓月:「よくできた画像編集だな。騙されないぞ。」
「よくも未羽を……」
「裏切り者(ダブルクロス)を発見した。座標を送る!」
その場で戦闘になることはないが、援軍を呼ぼうとするので一度退散した方がよいだろう。
(弓月と接触したPCは自動的に弓月のロイス欄に加わっていく。妹、母親を含め弓月のロイスは最大5つである。)
・シーン6:時臣 適切なPC
時臣に会いに行くと発生。時臣はA市支部の支部長室にいる。PC②にはPC①探索の成果を、PC③には霧谷がなぜPC①を信用しているかをそれぞれ問いただす。PC①は支部に入ることが出来ないため単身では時臣とは接触できない。
時臣:「それで、PC①の居場所は分ったかい?」
「私が出るほどの事件ではないと思っていたが、君たちには手に余るかな?」
「霧谷支部長はどうして頑なにPC①を擁護するのだろう。」
「パーティの客なんて見間違えることはよくあることだ。」
「ほぅ、君はPC①が犯人であるということに疑いを持っていると。」
◆アドバイス
このシーンではPC②またはPC③が孤立する可能性が高い。霧谷雄吾は絶対に誤らない視点を持っているため、彼の言葉という形でPCに合流を促すとよいだろう。
情報収集シーンでは積極的にオリジナルシーンを加え、事件の真相解明とPC間の連携を促すとよい。特に孤立しているPCを促し、PC側からシーンを提案させると参加者の満足感が上昇する。
イベントシーンはぶっちゃけてしまえば、弓月に会いに行くのが正解で、時臣に会いに行くのが不正解である。もちろん、正解ばかり選ぶのはTRPGの本質から外れるため、過度な介入は避けるべきであるが、弓月に誰も会いに行かない場合はクライマックスでの弓月の生還が絶望的になり、時臣に3回以上会いに行くことは浸食値の面から控えるべきと助言したい。ただし、ロールプレイの中で時臣を共通の敵として問い詰め、それを時臣がのらりくらりとかわすシーンなどは物語の構成上意味のあるシーンと考える。
トリガーシーン
・シーン7:階段 PC①
c-1およびa-2bの両方を開示した場合A市支部支部長室に全員が入れるようになる。支部長室には時臣がいる。
時臣:「ここまで逃げ切ったことを褒めてあげるべきかな。ただ裏切り者には死んでもらうしかない。それに味方する者たちもだ。」
時臣はロッドを構えると、出入り口の扉の方に移動する。そして扉を再度開き、弓月を呼び入れる。弓月は明らかに憔悴しきっており、理性を失いかけているように見える。
時臣:「本来は、私怨で仇を討たせるなんてことは決してしないのだがね。今回は特別だ。身内の不始末は身内で片を付ける。さあ弓月君、君自らの手でPC①を討ち取るんだ。」
弓月:「ああ、死んでしまえ。お前を殺した罪はちゃんと背負ってやるから。」
クライマックスフェイズへ移行する。
【クライマックスフェイズ】
・シーン7:戦友 PC①
前方には分厚い防弾ガラス、後方の出入り口は2人の人間によって塞がれている。杖を持つ男支部長伏見時臣、そして戦友である中野弓月。
昨日まで味方だったのに…。どうしてこうなってしまったのだろうか。
怪しく光る杖の先の宝石。無慈悲な赤はただその色で答えを出せと求めている。
衝動判定を行う。
意思:9
衝動判定に失敗した場合、バッドステータースの暴走を得る。その後全PCは浸食率を2D10上昇させる。
時臣:「弓月君、裏切り者狩り(ダブルクロス・ハント)を始めよう。」
戦闘配置は全PCが1エンゲージとなりその前に10mを開けて中野弓月と伏見時臣が1エンゲージで配置されている。
勝利条件は、伏見時臣の死亡。中野弓月の生死は問わないものとする。
時臣は、はじめのメインプロセスで「インテンシブ・エインエシャボン(Intensive Einäscherung我が敵の火葬は苛烈なるべし)」を使用し、以降のメインプロセスでは「フレイム・オブ・アゾット」を使用。
受動は全てガードを宣言し、弓月とエンゲージしているときに限りミスディレクションを2回まで使用し範囲攻撃を単体攻撃へと変更する。
接敵された場合1度のみシャッフルで、攻撃対象を接敵してきたPCに移し替える。
ガード値は10、相手の攻撃を常時-15する。
一度のみヘブンズアイで弓月の攻撃達成値を+10し、自身のHPを5失う。
マイナーアクションは弓月に「ブラック・アビス」を手渡すことに使う。
1度のみ加速する刻を使い追加したメインプロセスで「パナケア・ロッド」を使用し、HPを5D10回復する。
弓月は、はじめのマイナーアクションのみ戦闘移動と武器作成を行い、2回目以降は時臣から渡される「ブラック・アビス」を使用する。メジャーアクションは「正鵠の剣」を使用するが、一度のみ対象を複数取れる場合3体まで対象を取り「裏・正鵠の剣」を使用する。
時臣とエンゲージしている際は砂の結界でカバーリングする。時臣と離れた場合でも、2回まで砂の祝福と砂の守護者でカバーリングをする。自身のリアクションは回避を宣言する。
◆弓月の生還に関するルール
初期浸食率を100%とする。「ブラック・アビス」を使用するたび浸食率を5%上昇させる。攻撃での浸食率上昇は無視する。
戦闘不能時、弓月はロイスを使用し、HP17点回復する。
戦闘終了時に、PCが弓月に対して持っていたロイスの数+弓月の残りロイスの合計の数だけダイスを振り、出た目の合計分だけ弓月の浸食率を下げる。このバックトラックは1倍振りで行い、追加振りのみ認める。弓月がジャーム化した場合は霧谷により、冷凍保存処理されることとなる。
時臣
インテンシブ・エインエシャボン(Intensive Einäscherung我が敵の火葬は苛烈なるべし)
「無様なものだな。UGNのオーヴァードよ。」
フレイム・オブ・アゾット
「これは裏切り者に対する誅罰だ。」
ミスディレクション
「そうやすやすとはいかない。」
シャッフル
「常に余裕をもって優雅たれ。この程度で動揺しているようではいけないな。」
灼熱の結界・融解
「息巻いてきたと思ったら、所詮この程度か。」
ヘブンズアイ・ブラックアビス
「これは私からの恩情だと思いたまえ。」
パナケア・ロッド
「こういう品の1つでも所持しているかが、一流と三流の違いなのだよ。」
弓月
ハンティングスタイル・インフィニティウェポン
「未羽見ていてくれ。」
正鵠の剣
「悲劇の連鎖はここで…」
裏・正鵠の剣
「俺が最後の罪を…背負う!」
カバーリング
「支部長、無事ですか?」
伏見時臣の戦闘不能後バックトラックを行う。
【エンディングフェイズ】
・シーン8-1:贖罪 PC①
弓月がジャーム化しなかった場合こちらのエンドとなる。
弓月は時臣の死を見て全てを悟ったようだった。彼の遺体から光の粒が流れ出し、全くの別人に変わってしまったのだった。本物の伏見時臣は既に殺されていた。支部長室の隠し部屋から後にその遺体は発見されることになる。今回の事件の真相は、FHエージェントが「天使の外套」によって変装して起こしたものだった。
弓月は自責の念から、叫びながら自分の剣を喉に突き刺そうとするだろう。彼を落ち着かせ、更に傷を癒すには更に時間が必要だろう。特に身近で支えられる君たちの存在が不可欠だ。
To be continue...
・シーン8-2:別離 PC①
弓月がジャーム化した場合こちらのエンドとなる。
錯乱した弓月は自分の身体を分解して砂にしてしまいそうになる。霧谷雄吾から通信が入り即座に彼を凍結保存し、いつの日かジャームを元に戻す技術が確立した時に再会できるだろう。しかし、彼に関するものはほとんど何もなくなってしまった。オーヴァードは任務をこなすたびに何かを失い続けるのだろうか。
To be continue...
経験点配布
・シナリオをクリアした…5点
・中野弓月のジャーム化を阻止した…5点
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