第7話:この後めちゃくちゃ(ry
「終電逃しちゃったね……」
「ああ……」
俺らは駅で黄昏ていた。
時間は六時ちょっとすぎ。
この時間帯で終電と言うのは早すぎると思うかもしれない。が、それはあっている。この後も電車は数本出る予定だし、本来の終電は9時台だ。
でもその終電を乗ったとしても残念ながら自宅まで行くことは出来ない。
終電で行ける駅はその何十個前の駅で終点だからだ。
というかそもそも、路線自体が違うところがあるのでその路線の終点に合わせないといけない所もある。
ゆえに俺らにとっての終電は、本来の終電ではなくその何個あとの6時に出る電車だった。
その電車に乗り遅れないように時間をしっかりと確認していたのだが、
「くそぉ、何で時計台の時間が20分遅れで動いていたんだよぉ……」
「……ほんとそうよね」
「もっと定期確認とかして欲しいくらいだよ……」
そういう事だ。
海で海水浴事態は4時くらいに終わって、観光を5時まで。
それでこの海の夕日が綺麗だという話を聞いて、また海に。
その時、時間をその海岸にある時計台に確認していたので、このような事が起こってしまったのだ。
……とは言って後悔しても、この先に自宅があるわけでも無い。どうにかしないと。
俺は頭をフル回転させたが特に何も思いつかなかったので、彼女に聞くことにした。
「……どうする?」
「どうすることも出来ないわよ? 駅前のホテルだってきっと予約の時点で満杯よ」
「……そうだよなぁ」
ホテルと聞いて、あることを思い至ったがそれは無理だと考えた。確か未成年は入れないし。
「とりあえず夕飯でも食べに行きましょうよ。お腹が減って来たわ」
「……そうだな」
ファミレスでパスタを食べた。
@
ファミレスで一夜過ごすプランを考えたが、肉体的に持ちそうにないのと、そもそも今いるファミレスは10時に閉まる仕様だったので却下された。
24時間営業で寝れそうな漫画喫茶やカラオケボックスを探してみたが、この海辺周辺には無かった。
そして唯一泊まれそうな建物は、
「……」
「……」
ラブホだった。
海と言う最高の立地にあるくせに、部屋は何個か空いていることが外から光で分かった。きっと泊まることは出来るだろう。
だとしても、泊まることは無理。
たしかラブホは成人じゃないと利用できないはずだ。俺らのような高校生が利用できる場ではないはずだ。
つまり結局のところ、泊まる場所は何もない。
そう考えて思わずため息が出る。
時間をスマホで確認しておけば、そんな事は一切起こらなかったのにと考えてしまう。自分が嫌になる。
その時、彼女が話しかけてきた。
「……ねぇ一つ、提案があるのだけど?」
「……提案?」
「あれに泊まらない?」
そうしてラブホに指を指す。
「え、いや、でも成人じゃなくちゃ入れないもんじゃないの?」
「これがあるわ」
そう取り出したのは学生書。でもうちの高校の学生書とはデザインが違う。
「姉の大学の学生書よ。今21歳だから成人してる」
「大学の?」
「昔無くして新しいの申請したらしいの。でも後から無くしたのが出てきたらしくて、その無くしたのを譲ってもらったのよ」
そうして彼女は俺の方を見つめて、
「これで誤魔化せば泊まれるはずよ」
そう言い放った。
「……」
良いのか本当に?
いやでも彼女が行けると言ったので行けるだろう。
でも。まだ、ダメじゃないのか?
何がダメなんだ?
あー。
「……それしか手が無いし、行こう」
「……分かったわ」
姉の学生書でラブホ内部へ侵入を開始して――成功した。
そのあとは、えーと、まぁ、色々あった。
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