短編15-2話
「はいはいーっと。はい
今日も鮮やかな受話技術っ。
「
「おわっと
なんと都から電話がかかってきた! 俺からかけることはあるが、都からかかってくるのは珍しいなー。
「この前看病してくれたから、そのお礼にうかがいたいのだけれど」
「そこまで気遣わなくていいと思うけどなー」
「ご迷惑なら控えておくけど」
「いやそーゆーわけじゃ……ちょっと待ってろっ」
俺は受話器を置いて母さんに。
「母さーん。都がお礼を言いにこっち来たいって言ってるけど?」
「あら都ちゃんが? そんなわざわざ気遣わなくっていいのにー」
「って俺も言ったけどさー。迷惑なら控えておくけどっとか言われてさー」
「都ちゃんはいい子よねぇ。わかったわ、今日はお父さんも早く帰ってこられると思うから、今日の五時でよかったらって伝えておいてくれる?」
「わかった」
ということで俺は受話器に戻り
「都ー?」
「はい」
「母さんが今日の五時とかどうよってさ」
「ええ。おうかがいさせていただくわ」
都が五時に来る。そういや都の家には行ったことあるが、都から俺ん家来るって……初めて~……だよなぁ。
「にしても習い事ないなんて珍しいな」
「塾の宿題をしなければならないわ」
「はぁー……都は相変わらず頑張ってんなぁ……習い事話を聴けば聴くほど俺って何やってんだろな」
「わたくしは恵都が恵都らしくいててくれればそれで充分よ」
「はぁ、まぁ都がそう言うんなら」
とはいえ学力が開いていく一方! でも塾とかさすがにやる気出ない……。
「……ねぇ恵都」
「ん?」
「今度の日曜日……ひまかしら」
「今度の日曜? あーうん。ぇ、まさか都、ほんとに俺と遊んでくれるのか!?」
「ええ」
「ひゃっほぉーーーい!!」
俺、歓・喜!
「うるさいわね」
「ひでぇ」
都はちょっと笑っていた。
「貴重な日なんだ。俺と何したい?」
「そうね……」
都は考えているようだ。いつもちゃちゃっと返事が来るので、考える都はちょっとレアかも。
「……恵都さえよかったら、別荘へ行かない?」
「おい。雪守恵都人生で、同級生から『別荘行こうぜ!』なんて誘われたの都が初めてだぞ」
「そう」
そしてさらっと流すのが都。
「海から近いところに別荘があるの。いつも車で移動してるけど、電車で一時間くらいと聞いたことがあるわ」
「へー。別荘行って何すんだ?」
「わたくしは恵都と時間を過ごしたいだけよ」
あの日からというもの、都はたまにこういうことをちらほら言ってくるんだから俺の心臓いっつもどっきどき。
「じゃ、じゃー、この前言ってたお父さん趣味のあれ持ってきてくれよ! 俺もなんか遊ぶもん持ってくぜ」
「バックギャモンは別荘にも置いてあるわ」
「抜かりねぇな都の父さん」
「日曜日はそれでいいかしら。朝九時に駅で待ち合わせはどう?」
「おぅ、それで」
本当に都と一緒に出かけんのか、俺。
「じゃ今日待ってるぜ」
「ええ。五時にうかがうわ」
「じゃなっ」
俺は受話器を置いた。
(あの都とこんなに仲良くなっちまってんだな……ちょっと信じられねぇ)
憧れの眼差しをあっちこっちからめちゃんこ受けている都と、こんなに……なぁ……。
(さて、そろそろかな……?)
リビングで俺と父さん母さん兄ちゃんが勢ぞろいで待機している。ジュースとおかしも用意されている。
(インターホンきた!)
インターホンが鳴ったので、俺は玄関に向かった。
ドアを開けると、都と……げっ、都の父さん母さんじゃねえか!
(つまり、社長と社長夫人!!)
「お、おじさんおばさんも来たのか!?」
「やあ恵都くんはっはっは。おじさんたちが来てはいけなかったかな?」
「いやいや全然! もうめっちゃ来てください!」
おじさんは茶色いスーツでビシっと決めてるが、表情はやわらかい。おばさんは……髪の結び方の名前全然知らないぞあれ。とりあえず左右非対称。コート姿だが……足元見る限りだとうーんスーツかなぁ。
「ありがとう恵都くん。突然すまないね、でも都を救ってくれた恩人だ。礼を言わせてくれ」
「大げさすぎだって! 都がお見舞い来ていいっつったから俺行っただけで」
「都。それは本当ですか?」
今度はおばさんがしゃべった。
「え、ええ。恵都が心配してそうだったから呼んだわ」
(うわ都が表情崩れてる! なんて超絶レア都!!)
都もコートだが、薄オレンジで丈がちょっと短め。都が着てるとなんでもおしゃれだなおい。てかその靴何? 白色で超つやつやしてるんですけど。
「恵都くんにうつしたらどうするの。だから人を置いていくと言ったのよ?」
「わたくしだって……かぜのときくらいゆっくり寝たいわ」
「都。あなたはもう少し
「まぁまぁ
「そんなことよりっ。恵都、寒いから早くこの二人を入れてあげなさい」
「お、おけっ。ささどぞ!」
俺は凪村家のみなさんを家に招いた。都の顔がちょっとおもしろかった。
凪村家のみんなといっぱいおしゃべりした。今度家族でパーティに行くことも決まった。
おばさんの話から大学の話につながってしまい、都はやっぱり俺と一緒のとこがいいと改めて言った。両方の家族が集まってる前で。両方の家族が集まってる前でっ……!
都から俺にレベルを合わせてもらうのは申し訳ないし、かといって俺は都との学力は歴然たる差が……どっちみち俺は相当勉強を頑張らないといけないだろう……。
でもこの話が出たからか、俺はとうとう凪村家自由に来ていいよ権を手に入れてしまった! 親衛隊たちにとって誰もがうらやむ超スーパーすごい権利だろう。
親たち四人は楽しそうにしゃべっていたが、俺と都はなんだかちょっと……な。
都が本調子じゃなさそうな表情に見えたので、俺はちょこっと都としゃべりたいってことで、部屋へ呼ぶことにした。許可が出たので都を二階へ。
(念を入れて片付けててよかったぜ……)
俺様の勘も捨てたもんじゃないぜ!
「み、都。ここまで連れてきてあれだが。改めて聞くけど……男子の部屋、OK?」
都は白いブラウスに白くて長いスカートだ。白い靴下に水色のヘアバンド。青いつやつやなリボンがブラウスで光ってます。という俺の家にまったく似つかわしくないお嬢様感あふれる都っぷり。
「どういう意味かしら」
「あいや……男子の部屋に入るの抵抗とかないんかなって」
「ないわ」
「あっそ」
俺は自分の部屋のドアを開けた。
「じゃまするわ」
「じゃますんならかえってー」
「嫌よ」
俺は盛大にこけた。都の少し笑った声が聞こえた。
気を取り直して、都を部屋に入れてから、俺はドアを閉めた。
(おぅ。本当に俺の部屋に都がいる)
俺は友達の家に遊びに行くことが圧倒的に多いから、部屋に人がいること自体が新鮮。女子なんて都が初めてだ。初めてが都てっ。
「ここが恵都の部屋なのね」
都チェックが入っています。
「ご、ご感想を」
「どこに座ればいいのかしら」
「どこでも」
と俺が言うと、都は部屋を見回しながら歩いて、結局ぺたんとカーペットの上に座った。おっと俺はここでエアコンON。
(ぺたんと座る都もレアだし、ぺたんと座る都を上から眺めるのもレアだ)
見下ろすと都。あ、都が見上げてきた。
「なにかしら」
「あ、いや……」
(なんか……いいな)
なんかいいから、都の頭をわしゃわしゃした。ヘアバンドもつやつや。
……特にこれといった反応はなかった。
「すいませんでした」
「何に対して謝っているのかしら」
「とにかくすいませんでした……てかクッションとかあったっけなぁ……」
俺はクローゼットを開けて確認。あああったあった。緑色の座布団だけど。
「都、これ」
「使わせてもらうわ」
都に渡すと、座布団に座る都がそこに。俺も都の右横に座布団置いて座る。
前の都の部屋のときと同じような近さのはずなのに、この部屋狭いからかもっと都と近くに感じる。
都がななめの角度でこっちを見ている。俺も都を見とこ。
……お互い見合ってるだけで、特にセリフがなかった。
「み、都?」
「なにかしら」
「……い、いや、別に」
声をかけてみたものの、これといった話題が浮かばなかった。都は部屋を見回している。
とりあえず見回す都を眺めていたが、一周したのかまた俺を見てきた。
(うーん。ほんとこの部屋に似合わねぇよ……)
いかに自分が庶民かというのをまざまざと感じた瞬間!
「きょ、今日の服は気合入ってるよな!」
「そうかしら」
この話題はいまいちだったのか!?
「似合ってるなーと思いまして……」
「ありがとう」
とりあえずありがとういただきました。
「か、かぜ治ってよかったな」
「恵都のおかげね」
「おいおい逆効果とか言ってなかったっけ」
「そう言ったのは恵都よ」
「あれ、そだっけ」
都ちょっと笑ってる。ああほんとその優雅な笑い方は一体どうやったらできるんだろうか。
「な、なぁ都」
「なにかしら」
「ど、どうだほら、俺庶民だろ?」
「恵都が恵都だったら、なんでもいいわ」
(都ぉ~)
「なんかさ。俺。幸せなんスけど」
「どうして?」
「都が仲良くしてくれるから」
「わたくしは恵都と仲良くしたいから仲良くしているだけよ」
「なんで俺と仲良くしてくれるんでしょかっ」
「そこに理由は必要かしら」
「いえいりませんこれからも仲良くしてください都様」
都は優しいほほえみのまま少しうなずいた。
そんな表情見ちゃったらさぁ……
「都、んっ」
俺は両手を広げると、都はゆっくり近づいて、俺に抱きついてきた。俺も抱き締める。
「なんか一言どうぞ」
と聞いてみた。
「気分がいいわ」
「なによりです」
都様はご機嫌な模様です。
近づけていた顔をちょっと離して、
「なぁ、都」
「なにかしら」
口調がいつもよりもほんの少し優しかったような気がした。目の前にかわいい都が……いる。
「俺と。付き合ってくれないか?」
……自然と。そんな言葉を発してしまっていた。自分でも驚く間を通り越してしまうほど自然に。
言い放った瞬間すぐに頭の中は超テンパってしまっていたが、でも訂正したり取り下げたりはしないまま、俺は都の顔を見つめ続けてしまっていた。
都の顔は穏やかだった。本当に。ゆっくりまばたきをしていた。
「……わたくし。お父さんの後を継ぐつもりよ」
「ぇまじ!?」
またひとつまばたきをした。
「わたくしとお付き合いをすると、いろいろと大変なことに巻き込んでしまうわ。大学に入ると習い事の幅も広がるから、もっと忙しくなるでしょう。いくら恵都のことを心では想っていたとしても、習い事に疲れていると恵都を傷つけてしまうこともひょっとしたらあるかもしれないわ……」
こんなしっかりしてる都に対して、俺はなんて安直に告白ってもうたんや!!
「長くお付き合いをしていると、いろいろと恵都に迷惑をかけることもあると思うわ……恵都が悲しむと、わたくしもつらくなってしまう」
都ええやつすぎ。
「み、都ってすっげーいいやつだよな! は、はぁー、やっぱ俺みたいな平々凡々じゃー……だめ? かな?」
都はまたゆっくりまばたき。
「……わたくしも平々凡々なら。恵都と……今すぐにでも……いえ、もっと早く……」
突然都の目から一雫。そのままぎゅっとしてきた。
都の表情と都の抱き締める力から、都の覚悟のようなものを強く感じた。
本当に都は優しいんだな。
「……もっと都にお似合いの人。現れるかな」
ぼそっとつぶやいてしまったが、都からは特に反応はなかった。
とりあえず俺もちょっと力込めてぎゅっとしとこ。
「……恵都」
「ん?」
都の言葉に応えた。
……しかし、それに続く言葉はなかった。よしもうちょっとぎゅっとしとこ。
都も少し力を込めてくれた気がした。
「……わがままなことを言っていいかしら」
「お!? 都がわがままだと!? いやぁ~親衛隊が聞いたら俺ぶっ飛ばされそうだなぁ~!」
ちょっとおどけてみた。
「大学を卒業するまで、わたくしは恋愛をしないわ」
「ほ、ほぉ」
「勉強と習い事に集中するわ。お父さんの迷惑にならないためにも、しっかりと励むつもりよ」
「都すごすぎ」
「でもっ」
さらに都の力が強まった。
「……恵都には、ずっと今のその気持ちでいててほしい……」
「み、都……」
「恵都からそう想ってもらえていたら、わたくし。きっと……勉強を頑張れるわっ……」
とうとう都は声を震わせながら俺の肩を涙でぬらしてしまった。
「じゃ、じゃあさ都! 大学卒業するときにもっかい告白していいか!?」
うわーますます俺何言ってんだろー。でもそう言いたかったし!
「……わたくしはこんなわたくしよ。もっと忙しさを感じて、今よりさらにお父さんの後継ぎの意識が高まって……また恵都の想いに応えられないかもしれないわ」
俺はちょっと顔を離すと泣いている都を見つけた。そんな都を見ていると、俺も……なんかこう、覚悟みたいななにかが芽生えたような……。
この感覚はよくわからない。でも、俺は言葉をこう切り出した。
「都。好きだ」
そのまま唇を重ねにいった。
都は全然離れようとしなかったので、俺から離れた。でもおでこくっつけた。都の目線はちょい下気味。
すんすん泣いている都。てか俺都泣かしちまってんじゃんっ。こんなかっちょよくキメてる場合じゃねぇっ。
「み、都すまんっ、なんか俺、言いたいことばっか言って。てか泣かせちまってるし! 都の大変さ全然わかってやれてないよなあわあわっ」
「……うれし涙よ」
とっても優しい都の声。
「親衛隊の中でかっこいいやつとかいたか!?」
ここで空気の流れを変えよう! 換気は大事だよな!
「いないわ」
「そりゃ残念!」
ここであちゃーな顔をした。
「……やっぱりわたくしの人生には、恵都が必要ね」
都が泣きながらも笑ってくれている。そこまで俺のことを想ってくれてるなんて。
「俺。ちょいちょい勉強やって、少しでも都の希望する大学のレベルに近づけるように……頑張ろ、かな」
「無理しなくていいわ。一緒に決めましょう」
「あ、はい」
都様の命令は絶対である!
「わたくしは大学卒業までだれともお付き合いをしないわ。よく覚えておいてね……」
都がちょこっときょろきょろしたかと思ったら、目をつぶったので、俺はまた重ねにいってしまった。聞き慣れた都の『嫌よ』のセリフはなかったから……重ねてていいよな?
やっぱり都から離れる気はなさそうなので、俺から顔を離すことに。俺だってもっとくっつけてたいけどさぁ……。
「……今から一言だけ言う言葉を、恵都はすぐに忘れて」
「え? なんじゃそりゃ」
「恵都。大好きっ」
俺の頭がまだ追いついていない中で、今まででいちばん都の腕に力が込められた抱き締めが。そんなことの前に、今度は都から俺の唇に。もう俺のどきどきが最高潮。
でも今回は割とすぐ離れた。
「それでも恵都と遊びたいわ。いいわね?」
「はい都様」
都様のご命令は絶対なのであーる!
都はゆっくり腕と体を俺から離し、ポケットからハンカチを取り出して涙を拭いていた。
拭き終わった都の顔は、やっぱりまだどこか穏やかだった。
「……高校の間だけ付き合うとか……だめ?」
「わたくしに大学入学と同時に別れを切り出せというの?」
「余計なこと言ってすまん」
都は笑っていた。
「これ以上恵都に言い寄られたら、心を許してしまいそう。だから、お願い……」
「いやほんとまじすまん。なんかもうそのくらい都のことが本気で」
「こら、恵都」
あ、都から立てた人差し指を俺の口に当てられてしまった。
「み、都頑張ってんもんな! 俺も耐えるから! おう!」
都のためだっ。
「あーじゃあ俺からもわがまま言うぞ! いいな!」
「ええ」
俺はせき払いをひとつ。
「ほんとに都、大学卒業までだれとも付き合うなよ?」
都は俺の左手を両手で優しく握ってきた。
「恵都の想いにかけて誓うわ」
「都ー」
「なにかしら」
「俺のどんなとこが……いいのさ?」
「あまり理由を考えたことはなかったわ。まめに手紙と電話をくれるのですもの。だれよりもわたくしのことをまっすぐ見てくれて、なのに一緒にいてて楽しいもの。自然と……そう、ならない?」
「う、うーん、そう、かな?」
「恵都こそ、わたくしのどこを気に入ってくれているのかしら」
「おいおいなんもかんもそろってる上に頑張り屋の都のことに魅力感じないやつを探す方が難しいぞ」
「大げさじゃないかしら」
「親衛隊従えてる本人が何言ってんだよ……」
「勝手についてきているだけよ」
「お、俺だってさ。勝手に都のことー……好きー、になって、勝手に手紙出してっだけだし……」
「そう考えると不思議ね。彼らと恵都の違いは何かしら」
「さ、さぁ、俺に言われても。親衛隊が『んっ』ってやってきたら?」
「嫌よ」
「ああばっさりと」
「恵都はよくそれを女の子にしているのかしら」
「都にしかするわけねーだろっ」
おいそこでなんでそんなに都笑ってんだ。
「て、てか俺もいい加減がまんしないとなー……二人でいると、つい、都にべたべた」
「しないでほしいとは言っていないわ」
「あいや、俺もはやただの変態だし」
「受け入れているわたくしのことも同類だと思われているのかしら」
「のぉー」
顔を押さえてのぉー。
「な、なぁ都、たまには手加減してくれよぅ」
「どういうことかしら」
「のぉー」
再びのぉー。
「……うんまぁいいや。都は習い事頑張ってください」
「ええ」
都はまっすぐ俺を見ていた。
「のぉー」
やっぱり俺は顔を手で覆った。
「……恵都はわたくしのそばで、そうして元気でいててくれるだけで、わたくしもつらいことを頑張ることができるわ。いつまでも変わらずに、わたくしをはげましてくれていてほしいわ」
「そりゃ都をはげますくらいはいつまでもやりたいけど」
「恵都はそれでいいのよ」
「都いっつもしっかりしてるよなー。なんていうか……俺の前では、もっと楽にしてくれていいんだぞ?」
「すでにそうしているつもりだけど」
「もうそれで楽な体勢なんスか……」
「なにかわたくしにしてほしい体勢でもあるのかしら」
「い、いやそれは別に」
都が楽なら、まぁ、うん。
「都こそ、俺になにかしてほしいことがあったら」
「すでに日曜日誘ったわ」
「今だ今っ」
「充分満足よ」
「そりゃよかったっスねっ」
ほんとなんだこの都ってやつは。完璧すぎてますます俺の庶民度がっ……!
「……じゃあー、都。俺やっぱ庶民だからさ。好きな女の子とくっついてたくてさ。な!? 庶民って変態だろぉ?!」
もはや開き直るしかっ……! って都ため息ついてるし。
「ごちゃごちゃ言わなくていいわ。恵都に触られても拒まないから、いくらでも手を広げていなさい」
「……学校のど真ん中でも?」
「やりたければやりなさい。親衛隊に連れ去られても助けにいけないかもしれないけれど」
「おとなしくしてまーす」
三人や五人ならまだしも、その十倍は超えてる数だろうし……。
「てかー、み、都だってー、もしー、くっつきたくなったらー……どうぞー?」
ちらっちらっした。都またため息。
「もう……きっとこれが友達からよく聴く『乙女心をわかってないわね』ということなのね」
「そんなこと言われましてもー」
「まあいいわ。恵都がそれを望んでいるのなら……しょうがないわね……」
また都が優しくほほえみながらぎゅっとしてきてくれた。
帝王Tsuyamasama学園ラブコメ短編集 カクヨム投稿版!(コンテスト応募用) 帝王Tsuyamasama @TeiohAoyamacho
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