第2話 今日は特別

奈良の人が奈良に行くということは、奈良市街、

つまり、近鉄奈良駅周辺か、JR奈良駅周辺となる。


真彩さんは、近鉄沿線なので近鉄を乗り継いでいくが、

めちゃくちゃ時間がかかる。


お金はかかるが、特急に乗らないとばてる。


で、近鉄奈良駅に降り立ち、改札口を出た真彩さんは、

「うわーっ、前来た時と、殆ど変わっていない」

予想通りの感想を述べた。


近鉄改札口を出たところには、行基の噴水の像がある。

鑑真と勘違いしている人も多いが、行基である。


「いちいち、説明しなくていいからね」

でも、説明しないと、わからないのでは・・・

「そういうのは、想像に任せておけばいいから・・・」

ですが・・・

「あなたは、私の言う事を聞きなさい」

わかりました。


「ねえ、買い物しようか?地元よりはあるはずだから」

真彩さんは、買い物を始めた。


アイスクリームを買ったり、お菓子を買ったりした。

それを、猿沢の池のベンチに座って食べている。


見かけだけは可愛い、真彩さん。

「だけは、余計よ」

すいません・・・


しかし、今の時代はナンパをしてくる人は皆無なわけで、

奥手なのか、自分に自信のない男が多いのか・・・

まあ、助かっている・・・


「じゃあ、行こうか」

もう、帰るんですか?

「鹿さんに、会いに行くの」

あっ、それが目的でしたね。


真彩さんは、鹿とたわむれている。

巫女と知って、なついているのか?


鹿せんべいはあげないんですか?

「そんなの、いらない。美味しくないもん」

あなたが食べないで下さい。

鹿の食べ物です。

(おやつらしいが・・・)


しばらくして真彩さんは、

「そろそろ、帰ろうか・・・」


えっ、もういいんですか?

「うん、遅くなっても困るしね・・・」

どうしたんだろう・・・らしくないな・・・


「今日は、ありがとう。お礼に私が晩御飯作るから・・・」

いいんですか?俺でなくて・・・

「うん、たまにはね・・・また、明日からよろしくね」


しばらくして、真彩さんが言った。


「お誕生日、おめでとう。大好きだよ」

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巫女の休日 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

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