「お姉ちゃんを探してるんだ。双子の。それだけだよ」


そう。それだけ。


「それだったら、自分とおんなじ顔のって言って探せば、すぐ見つかりそうなもんだけど」


呑気な調子で木蓮が言った。


「それじゃ駄目なんだって」


なんせあたしとは顔が全然似てないから。


「名前は?」


村雨だ。


「名前」


あ、そうか、名前…!


「名前は--」


「ただいまー!」



突然響いた声に思わず言葉が詰まる。


「あれ?誰、その子?」


現れたのは、桃色の着物を着こなしている同い年くらいの男の子だった。

下手をすれば女の子と見紛うほどに華奢だ。


「こいつは琥珀。さっきそこで助けた」


「俺は山吹!で、こっちが鈴代すずしろ。よろしくな、琥珀!」


「う、うん」



桃色の着物の男の子…鈴代のあとに続いて入ってきた彼は山吹というらしい。


名前の通り、山吹色の着物がよく似合う。

人懐っこそうな笑顔はきっと彼の魅力の一つなんだろう。


…この人たちが、本当に極彩色なんだろうか?



「で?どうだったの?今日は」


「この辺は異常なし。あと、この間の依頼主からの報酬はちゃんとここに」


「ほら、早く鶯に報告しないとまた怒られるよ」



内心、あたしは少し拍子抜けしていた。


表沙汰にできない依頼なんて言ったら…

当然、【暗殺】なんて依頼もあるはずだ。



「あー…そうだった。

鶯今どこにいるんだろうなー、鶯の方から来てくんねぇかなー」



…依頼?



そうだ、

この人たちは【極彩色】だ。



「琥珀さん、お待たせしてすみません」


「本当に来た」


「嘘だろ」


「そうだ!!」


「ちょっと、急に何?」



当然の反応だ。

でも、そんなことどうでもよかった。


だって



「あなたたち、極彩色なんでしょ?依頼、受けてくれるんでしょ?

だったら、お姉ちゃん探すの手伝ってよ!」


名案を思いついたんだから。

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