伍
「お姉ちゃんを探してるんだ。双子の。それだけだよ」
そう。それだけ。
「それだったら、自分とおんなじ顔のって言って探せば、すぐ見つかりそうなもんだけど」
呑気な調子で木蓮が言った。
「それじゃ駄目なんだって」
なんせあたしとは顔が全然似てないから。
「名前は?」
村雨だ。
「名前」
あ、そうか、名前…!
「名前は--」
「ただいまー!」
突然響いた声に思わず言葉が詰まる。
「あれ?誰、その子?」
現れたのは、桃色の着物を着こなしている同い年くらいの男の子だった。
下手をすれば女の子と見紛うほどに華奢だ。
「こいつは琥珀。さっきそこで助けた」
「俺は山吹!で、こっちが
「う、うん」
桃色の着物の男の子…鈴代のあとに続いて入ってきた彼は山吹というらしい。
名前の通り、山吹色の着物がよく似合う。
人懐っこそうな笑顔はきっと彼の魅力の一つなんだろう。
…この人たちが、本当に極彩色なんだろうか?
「で?どうだったの?今日は」
「この辺は異常なし。あと、この間の依頼主からの報酬はちゃんとここに」
「ほら、早く鶯に報告しないとまた怒られるよ」
内心、あたしは少し拍子抜けしていた。
表沙汰にできない依頼なんて言ったら…
当然、【暗殺】なんて依頼もあるはずだ。
「あー…そうだった。
鶯今どこにいるんだろうなー、鶯の方から来てくんねぇかなー」
…依頼?
そうだ、
この人たちは【極彩色】だ。
「琥珀さん、お待たせしてすみません」
「本当に来た」
「嘘だろ」
「そうだ!!」
「ちょっと、急に何?」
当然の反応だ。
でも、そんなことどうでもよかった。
だって
「あなたたち、極彩色なんでしょ?依頼、受けてくれるんでしょ?
だったら、お姉ちゃん探すの手伝ってよ!」
名案を思いついたんだから。
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