参
ふと、思ったことを聞いてみた。
「ねぇ、なんであの子の手当てじゃ駄目なの?」
村雨はあたしと目を合わせることなく答えた。
「木蓮の不器用さは皆知ってる。木蓮の手当てじゃ怪我が悪化する」
それはすごい不器用さ…
事実、さっき見かけた彼女のあやとりは…
お世辞にも上手いとは言えなかった。
「これで血が繋がってるっていうから不思議だよな」
「え?そうなの?」
「あたしたち兄妹なんだ。一番上が朝陽、次があたし、末っ子が村雨」
紫の彼女…もとい木蓮が放った言葉には衝撃の事実が伴っていた。
確かに、いやに親密だとは思ったけど…
「不思議すぎる」
「肯定されるとちょっと複雑なんだけど」
すると朝陽はまた木蓮にちょっかいをかけ始めた。
改めて見ると、うん、確かに兄妹だ。
村雨は無口であまり会話に入らない人柄みたいだけど、朝陽と木蓮を見つめる目には優しさが滲んでいる。
「あ、ねぇ、ここまでしてくれるのはありがたいんだけど、ここって…」
「なんだ?」
「極彩色、じゃない?」
そんな質問をしたのは
間違いだったのかもしれない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます