第4話


あれから半年経った。世界は、ナッちゃんのことなんかとうの昔に忘れたみたいに回っている。



始業式はもうそれはそれはひどいものだった。人の噂はとても恐ろしい。ナッちゃんの死は全校生徒まで知れ渡っていた。マスコミの校門での待ち伏せ、質問攻め。


女子高生の死。ネットニュースにも大々的に取り上げられ、高校側は対応に明け暮れ、まともに機能できていない。地獄のような日々だった。



けれどニュースというものはすぐに移り変わっていく。1、2ヶ月のうちに、衆議院議員の横領事件が判明し、そちらへと流れて行った。


それでも教室はしばらく重苦しい雰囲気だったけれど、半年もすれば皆忘れかけていく。そんなものだ、たった1年間だけの繋がりなんて。


時々出席番号12番が当てられた時や、席替えなんかの時は少し微妙な雰囲気になるけれど、そんなことがない限り、皆ナッちゃんのことなんか最初から存在しなかったかのようになっている。


きっと未だに気に病んでいるのなんて、私と彼くらいだろう。



机上にしおれかけた水仙の花瓶が置かれている。その机の使い主だった12番の彼女は、もういない。




私が彼女、ナッちゃんと出会ったのは、入学して数日経った日だった。





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