その10 センとイルカの神隠し(解決編)

突如いなくなってしまったセンちゃんとイルカを捜して、私とアシカは今、海を泳いでいる。

いや、正確には、私はアシカの背中に乗っている。

私の推理が正しければ……

2人が見つかればいいんだけど……




「……アルマーさん、何か聞こえてきません?」

「えぇっ?私、聴力は悪……いや……」

「だから……じゃないですか!」

「……なら……ないよ!」

「確かに何か……声が聞こえてきた!」




もしかしてこの声……




「帰して下さいよぉ……助けてぇ……」

「センちゃん!センちゃーん!」

「イルカさーん!」

「あっ、アシカちゃん!」

「アルマーさん!……うっ、来てくれたんですねえええええ……!」


私はアシカの背中からセンちゃんが乗ってる乗り物にとび移った。

センちゃん、泣きながら私に抱きつく。

意外と怖がりなんだなぁ……。


「あのままイルカさんが帰してくれなかったら……私、永遠に……!」

「ああ、ごめんよセンちゃん!もうちょっとセンちゃんのこと気にしてたらこうはならなかったのに!」

「い、いいんですよ!こうしてアルマーさんが……いてくれるんですし……。」


もしかして何か恥ずかしくなってきてない?

かーわいーなー♪


「あの、センさんにイルカさん……どうしてここに……?」

「あ、あのねアシカちゃん!センちゃんの調査の為にここまでつれてきたんだけど……」

「センちゃんのスカートはイルカの背中に乗せていくには痛いから乗り物を使った。そんで調査が終わって帰ろうとするも、イルカはご褒美を貰ってないから自分達のルールに習って帰さず、センちゃんはどうすることもできずにずっと乗り物に乗って海に浮かんでいた。そうでしょ?」

「そ、そうなの!」

「そうです!アルマーさん、いい推理です!あの、ご褒美、ないんです……。」


イルカとアシカには、何かをしてもらったらご褒美を貰わなきゃいけない?みたいなルールというか、習性があるんだって。

そういうフレンズらしいの!何だか懐かしい気がする……。


「でもご褒美がないことには……」

「待って!私の帽子の中……じゃーん!」

「こ、これは……じゃぱりまんラムネ味!」

「1個しかないから、分け合って食べて!」


そう言って、じゃぱりまんを渡す。

2人はそれを半分こにして食べ出した。

とってもおいしそうに頬張る。

ラムネ味の虜になるが良い。


「……ぷはっ!ごちそうさまー!」

「ごちそうさまでした!とてもおいしかったので、今から陸に超特急でお送りしますね♪」




そして、乗り物は動き出した。

潮風の匂い。

嗅覚が鋭い私には、深く感じた。

センちゃんはトラウマになっちゃったようで、少し怖がっていたけど、それでも私と一緒にどこまでも広がる海を見ていた。




「……着きました!」

「ありがとうございました」

「ありがとね~!じゃ、私達はそろそろお暇するから!」

「また来てね!バイバーイ!」


2人は仲良く手を振っている。

多分私達が帰るまで、いつまでも。

私とセンちゃんは顔を見合わせて、その場を後にした。

2人が食べていたラムネの匂いが、微かにした。











「アルマーさん……ありがとうございました!今日はあなたの推理に救われました!」

「いいんだよ!今日は探偵の日!私も推理力をフル回転させたかったから!」

「えっ!?今日探偵の日なんですか!?私、アルマーさんより全然推理してない……。」


あっ、確かに……。


「ずるいです!」

「すみません!」

「許しまセン!」

「ごめんって!」


センちゃん……。


「……でも」

「……?」

「さっきアルマーさんの分のじゃぱりまんラムネ味はあげちゃったので……事務所に忘れてた私の分を半分こにして分け合って一緒に食べてくれたら許します!」


センちゃあああああん!

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