その7 相棒の行方と似た者同士(解決編)

「フェネックを返せなのだ!」

「どういうことなのだ!」



似た者同士な2人の言い合い。

そこに……



「おーい!ケンカしないでよー!」

「むぅ!ダブルスフィアは邪魔しなくていいのだ!万が一コイツが危険なことしてきたら食い止めるのだ!」

「私達は探偵であり、ボディーガードではありまセン!」バッテン


急にダブルスフィアをボディーガードとして見るアライさん。

キュルル一行の前に現れたダブルスフィアよりもよっぽど自分勝手だろう。


……だが、それも無理はないかもしれない。



「罪を着せられてさぞ傷ついてるだろうねー。」



そして、次のアルマーの一言で、状況は一気に変わる。



「……ね、アライさん。」


「アライさんはコイツに罪を着せられているのだ!」

「アライさんも罪を着せられているのだ!」

「「うぇ!?」」



沈黙が訪れた。

よく似た2人。

それは、どっちもアライさんなのか。

否。



「ねえ、依頼主は本当はアライさんじゃないんでしょ?で、こっちが本物!」



アルマーは、もともと黄色いフレンズと一緒にいた方を指さした。

黙りこむ依頼主は、唐突に口調を変えてきた。



「……どうして分かったの!?」



「まず、不自然な『のだ』『なのだ』の付け方かなー。『うんなのだ!』なんて普通言わないしねぇ。それに、本物のアライさんの前で急に一人称を『自分』に変えたでしょ?それって、自分がアライさんになりきってるってバレたくなかったからだよね?」


唖然とする、よく似た2人。

そしてすかさず本物のアライさんも攻めた。


「そうなのだ!それに、本物のアライさんは『あんた』なんて言わないのだ!『お前』なのだ!真似るならもっとよく真似るのだ!」

「……そこじゃないでしょう」

「うぇ?」


センにツッコミを入れられたが。



「ん、でも疑問があります。まず、どうして本物のアライさんの一人称が聞こえる可能性があるのに、私達の前で本物を喋らせてしまったのでしょう」

「その時は大声を出すなりして処置しようと思ったの……。」

「なるほど。では、何故私達をわざわざ雇ったのですか?」

「さっき言った通り、ボディーガードだよ……。」

「ほう……。そして最大の疑問が、何故、そこまでしてフェネックさんを自分のものにしようと?」



「私……引っ込み思案で……友達が少なくて……だから、フェネックさんみたいな相棒が……欲しかったんだ……ごめんね……ごめんね……!」



……今にも泣きそうな偽のアライさん。

そこに、ついに黄色いフレンズが動く。


「……あなた、タヌキだよね?だから初対面でアライグマって言われても違和感がなかった」

「……うん……」

「なら、僕にぴったりだね……。」

「……ん?『僕』って……」




「……ごめん。なんか僕が『フェネック』ってことになってるからずっと黙ってたけど……僕、キタキツネだよ……?」




「「「「……えええええ!?」」」」




唐突の告白。

ダブルスフィアとタヌキは初対面だから気付かないのは当然だが……


「アライさんが気付かなかったのはどうしてだ!?」

「アライさんがせっかちで純粋な性格だからかな~。」

「本物のフェネックゥ!?」

「ごめんね~。面倒なことになってるっぽくて~、ずっと影から見ていたのさ~。」


本物のマイペースちぇいさーも揃い、事件はやっと解決した。


「……タヌキ」

「は、はい!」

「……僕と一緒にげぇむしない?」

「……!いいよ……!」


「……アルマーさん、だっけ」

「あ、そうだよ、フェネック。どうしたの?」

「わたしとアルマーさんも、似た者同士だねぇ」






──






「……ふぅ、タヌキとキタキツネは無事に仲良くゲームができたのでしょうか」


事務所に戻った2人は、じゃぱりまんをかじっている。

味はもちろんラムネ味。


「できてるといいねぇ。今日もまた、仲良しカップリングができたってところか。カップルが3組もいたら、非リアはさぞ妬むだろうねぇ。」

「……私達も入っているのでしょうか」

「もちろん!」


純粋な笑顔。

それはどっちかというと、アライさんに似ていた。

だが、声を入れればまるで……

無邪気なフェネックのようだった。

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