第65話 五階層 → 罠
翌日、四階層のボスであるスケルトンナイトと、ボス戦ではお約束の階層ごとの魔物の群れを倒す。この階層ではスケルトンとジャイアントバットだったんだけど、シルフィの土で檻をつくる【精霊魔法】が使えなかったから、リミの【風術】とシルフィの覚えたての【風】の【精霊魔法】でジャイアントバットを空から叩き落としたら、あとは結構簡単だった。
ボスのスケルトンナイトもスキル的にはめぼしいものはなくて、ただ他のスケルトンよりは装備がいいというだけのような気がした。一応落とした剣は拾っておいたけど『良鉄の剣』という普通の剣よりはちょっといい武器だった。いまのところ僕は剣を使うつもりがないし、リミの小剣の代わりにするにはちょっと重いから、しばらくはアイテムバッグの中かな。
ボスを倒してから五階層へと向かうと、五階層はリザードマンの層だった。スケルトンよりも力もあって、動きも素早いし、一緒に出てくるスケルトンを盾にしたり囮にするくらいの知恵もあるやっかいな敵だった。
さすがにリミひとりに任せる訳にはいかなくて僕も積極的に前に出る様にしたんだけど、なによりも厄介だったのは、五階層の造りは四階層と同じ通路風だけど足元に2センテくらい水が溜まっている層だったんだよね。
歩くと靴の中までしみてきて気持ち悪いし、足もふやけちゃうし、足元から冷たくなってきて体温が奪われるんだ。幸い僕は【水耐性2】があるから体温の減少はほとんどないんだけど……女性陣は特に辛いみたいで可哀想だった。
『リューマ、だったらシルフィの【精霊魔法】でなんとかなるんじゃないか?』
「あ……」
そんなタツマの一言で、シルフィが水精霊に足元の水をどけて貰うことで、その問題も一気に解決したんだけど、本当は僕がそういうことに気が付いてあげなきゃいけなかった。タツマは意外と空気が読めるというか気遣いができるスライムだよ。
それとリザードマンは【水耐性3】持ちだったから、交換して念のため全員に渡しておいたよ。耐性系は役に立つ機会は少ないけどいざという時にはあってよかったと思えるスキルだから大事なんだ。
「あ、ちょっとまってリミ。その先にまた罠があるみたい」
「またぁ! 五階層にきてから急に罠が増えたよね、りゅーちゃん」
そう、五階層から通路の中にも罠が出てくるようになったんだ。最初は30センテくらいの落とし穴で僕が落ちた。いままで罠とか無かったから完全に油断してた。幸い怪我はしなかったけど、それからも壁から石が飛んできたり、水をかけられたりするような……危険度は少ないけど、いろんな罠が仕掛けられていた。このまま深く潜るとだんだん危険な罠が増えていくのかも知れないということで考えた結果、壁、床、天井を常に【鑑定】して進むことにした。
【鑑定】すれば罠の有無はわかる。あとは【音波探知】で隙間や裏側の空洞をチェックして場合によってはタツマに解除を依頼するんだけど……。
『俺が中で指示してやるからお前が解除しろ。おまえならこのダンジョン攻略中に【罠解除】系のスキルを取得できんだろ』
ということで罠解除を練習中。ただ、そろそろリミのレベルも厳しくなってきているので本格的に腰を落ち着けて探索の比率を落とす必要が出てきているかな。
幸い田舎育ちの僕たちは野宿同然のあの仮家で暮らすことはあんまり苦じゃない。お風呂も入れるし、食べるものもたくさんある。ただあと半年くらいすると寒い季節がくるからそれまでにはダンジョンを攻略して山を越えてフロンティスに向かいたい。
それまでに攻略できなかったら、一度ダンジョン攻略は諦めることになるけど、そこまで頑張れば攻略できなくても訓練という目的は十分に達成できるはずで、街で冒険者になっても馬鹿にされないくらいには強くなれると思う。タツマの言うテンプレを実力で排除できるくらいになれるといいんだけどな。
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