Σ
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「どうしたの? ずっと窓を見つめてさ」
希濤が僕にそう言う、僕は振り返って、病院服の彼女をジマジマと見つめる。
「ちょっとね」
僕は言葉を濁した。
希濤の病室の窓から見渡せる街並み、そこの範囲をとりあえず、覚えておきたかった。
スマホを取り出して、写真を何枚かとる。
「音谷くん、頭大丈夫?」ムカついたので彼女の写真もパシャり。
彼女は驚いて、落ち着いた声で僕に、一字一句、丁寧に。
「私がね、美少女なぐらいは、みんな知っている、音谷くんが私の写真を撮って毎晩妄想の、
僕は彼女の口を塞いだ。彼女がむゴゴゴと声を出す。
「やめてくれ、僕は流石にそんなやつじゃない」
「じゃあどうしたの、急に」
「何にもないよ」
僕がそう言ったら、彼女は興味がなくなったのか、僕のスマホを奪った。
「何すんだよ」
「ちょっとこっち来て」
彼女はベッドの上で、僕を手招きする、僕はそのまま彼女の方に向かう。彼女が僕のスマホをいじっている、何やっているんだろう。そう思いながらスマホに目を落とすと、彼女は素早くカメラ機能に切り変えて、フロントカメラで写真を撮った。
僕と希濤のツーショット。
「感謝しなくてもいいよ」
「しないよ」
ありがとう。
大切にするよ。
その日僕は早めに病院から出て、あるところに向かった。手には夏祭りのチラシをもっている。
その場所は、小さな館みたいなところで、花火の企画グループの地点だ。
別に文字を花火にやるとかそんなイタイ事はしない。
中に入って、事情を説明する、丁寧に、そしたらスタッフさんが出てくれた。
僕が写真を見せる。
質問する。
彼等が、答える。
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