第3話 顔のない鬼たち

今日も何も変わらなかった。ただ、家の中でも外出先でも、大勢の何かに睨み付けられたり、ぶん殴られたりしていた。そう、なぜか個人にとっては信じられないくらいの大群が一斉に私に襲い掛かるんだ。それも、巧妙なんだよなぁ。きちんと絶妙の距離を保って、粛々と行われるんだ。私とちゃんと距離をとって嘲笑し、ちゃんと離れたところから石を投げつける。そして、駐車場ではなぜか、ほぼ必ずぎっしりと車が止まっていて、車内で、うつ向いて目を伏せていたり、急に顔を上げてじっと真っすぐに固まった表情で険しい目を向けたりしてる。(彼ら彼女らは、それも子供も青年もお年寄りもね)(何をしてるんだというよりも、なぜ?)(だね)(理由なんてまるっきり分からないよ)ただ、毎日毎日、凄まじい状況だよな。全く揺るぎのない狂気を突き付けられてるんだから。そう、彼ら彼女らには、迷いが見られない。自分たちにとっては、ごく当たり前の事をただ自然に行っているだけ。それ以外の事には、とても見れないよ。

で、当然。

明日もか。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る