第60話故郷へ。
「日没までには着きたいわ」
そんなミーアの意見に同意した俺は、休む事なく馬に揺られ続けた。
その甲斐あって、懐かしい景色が見えてきたのは日没前。
「本当にあったわね……はぁ、疲れた」
赤い空の下。
俺の生まれ育った村を遠目に見ながら、ミーアは深い溜息を吐いた。
「あぁ、疲れたな」
俺自身、酷い疲労を感じていた。
特に腰の痛みが酷い。
馬での移動は楽なものだと思っていたが、考えが甘かった。
「あと少しだ、頑張れ」
「えぇ、そうね」
それから、もう暫く馬に揺られ、村の入り口までやって来た俺達は遠慮なく中に入った。
憲兵のおじさん達は相変わらずみたいだ。
どうせ今日も、詰所と勝手に呼んでいるボロ小屋でサボっているのだろう。
「本当に何もないわね……なんでこんな所に住んでるのか、理解出来ないわ」
「言ったろ? 何もないって」
「想像以上よ。本当に、ここで育ったの?」
「間違いないよ。さて、まずは……」
「おいっ! 誰だ、お前達っ! 勝手に……って」
不意にボロ小屋の扉が開いて、中から憲兵の格好をしたおっさんが姿を見せた。
見知った顔が、俺を見て目を丸くしている。
「シーナ……? お前、シーナか?」
「久し振り、ただいま」
馬上から手を挙げて見せると、おじさんは振り返り小屋の中に向かって叫んだ。
「おい、お前等っ! 大変だ! シーナが! シーナが帰って来た!」
「聞こえてんよっ! おい退けっ! 出れねぇじゃねーかっ!」
「邪魔だぞ、キースッ!! てめぇの不細工な面、さっさと退けやがれっ!」
ボロ小屋の中から騒がしい声が響いてくる。
どれも知っている声だ。
キースおじさんを押し除けるようにして出て来た二人は、俺を見て……。
「シーナ! おーっ! 本当にシーナじゃないかっ! よく帰って来たなぁ!!」
「良かった。元気そうだなっ! お帰り、シーナッ!!」
大声で喚きながら、駆け寄って来た。
全く、騒がしいな。
「ミーア、降りて良いか?」
「良いわよ。ゆっくりね?」
一応、許可を取って馬上から飛び降りる。
足が地に着くって、素晴らしい。
おじさん達に近付いた俺は、両手を広げて見せた。
「はい、どーぞ」
途端。おじさん達は顔を見合わせ、ニヤリと気持ち悪い顔で笑うと、物凄い勢いで駆け寄って来た。
ひえっ。
「おー、シーナ。元気だったかー? 元気みたいだなー? 無事で何よりだ」
「少し背が伸びたんじゃないか? ちゃんと食ってるみたいで安心したぜ」
「お前、今は冒険者をしてるんだろ? なかなか様になってるじゃないか。はははっ!」
ぐえぇ。暑苦しい……酒臭いー。
「こほん。シーナ、この人達は?」
困っていると、背後からミーアが尋ねてきた。
いつの間にか馬から降りている彼女は、左手を腰に当て、呆れた表情でこちらを見ている。
「そういや、誰だ? この娘。すげぇ可愛いな」
「可憐だ……」
「馬鹿、シーナのコレに決まってるだろ」
おじさん達はミーアを見て、ひそひそと好き勝手言っている。
「あー。ミーア、この人達は、この村に常駐してくれている憲兵……みたいな人達だ」
「たはっ! そりゃあねーよ、シーナ」
「ふざけないで、ちゃんと紹介してくれ」
「みたいなって、俺達は歴とした憲兵だぜ?」
我ながら、的確な紹介だ。
何が不満なのか、おじさん達は口々に苦言を漏らした。
「本当に歴とした憲兵なら、まだ日のある時間からそんな酒臭い訳ないだろ。文句があるなら働け、この給料泥棒」
金を稼ぐ事が、どれ程大変な事か。
身を持って知っていれば、小言の一つも言いたくなるというものだ。
おじさん達は居心地悪そうに苦笑している。
「全く……で、こいつだけど。名前は、ミーア。俺の冒険仲間で」
「はじめまして、ミーアと申します。どうぞ、宜しくお願いしますねっ♪」
俺は自分の耳を疑った。
丁寧な言葉遣い、明るく好意的な声音。
……知らない声だ。
見れば、ミーアは小首を傾げ満面の笑みを浮かべている。
「可憐だ……」
「おい。良い歳して、なに見惚れてんだ。気持ち悪りぃ……ミーアちゃんだっけ? 俺はデュークだ。宜しくなっ!」
「はい。こちらこそ、お願いしますっ!」
「へへへ……」
「おい、デューク。お前なに抜け駆けしてんだ。あぁ? ……こほん。ミーアちゃん、俺はキースって言うんだ。宜しく」
キリッと顔を引き締めて見せたキースおじさんが差し出した手は、黒かった。
汚い。せめて拭いてから出せよ。
その汚い手を、笑顔のミーアは躊躇う事なく握った。
「はい、よろしくお願いします。キースさん」
もう我慢出来ない。
お前は誰だ。
「ふへへ……や、やわらけぇ」
キースおじさんの顔が、だらしなく崩れた。
「てめぇキース! どさくさに紛れて何やってんだ! ミーアちゃん、俺とも握手しよう!」
「はい、いいですよ? どうぞ」
「……おぉ、本当だ。小さい……柔らかくて、すべすべしてる」
「おい。きめぇぞ、デューク。情けねぇ」
全員情けない。
全く、良い歳した大人が何やってんだ?
「あぁ……しかし、可憐だ。おいシーナ、お前って奴は……また随分と可愛らしい娘を連れて来たな」
「外見はな。中身は猛獣だ。騙され」
「……シーナ?」
あ、これはミーアだ。
間違いない。目が笑ってないもん。
「いや、何でもない。忘れてくれ」
「ふむ。成る程、大体分かった。ったく……男の癖に情けねぇ……」
「ははっ、情けない奴だなー! お前」
「もう尻に敷かれてるのかよ。がははっ」
尻に敷かれてるとか言わないで欲しい。
父さんの息子だから、将来性はある。
「おじさん達には言われたくないよ。ほら、仕事に戻った戻った。俺は爺さんの所に行くから」
「仕事なんかないぞ。知ってるだろ?」
「いいから、話はまた後だ。おじさん達に付き合ってたら暗くなるだろ。ミーア、付いて来い」
「はい、シーナ。では皆様。また後程、改めてご挨拶に伺いますので」
ぺこっと頭を下げて見せたミーアを見て、おじさん達の目が輝いた。
「お、おぅ! ミーアちゃん。また後で、いっぱい話そうな!」
「そこの小屋。俺達の詰所だから、いつでも来てくれ。歓迎するぜっ!」
俺は村長の家に向かいながら耳を塞いだ。
全く、あの駄目なおっさん達を甘やかすなよ。
「しかし、今夜はめでたい日だな!」
「あぁ! これは早く他の皆にも知らせなきゃならねぇ」
「そうだな! なんてったって……」
騒いでいるおじさん達が気になって振り返る。
皆、楽しそうに笑っている。
絶対、ろくでもない事を考えてるな。
「シーナが、嫁を連れて帰って来たっ」
「宴会の用意をしなくちゃいけねぇな!」
「明日は忙しくなるぞ!」
うるさっ……あと、言い方っ。
ほら、ロクな事じゃなかった。
「シーナだって?」
「あっ! ホントだ! シーナ! おかえりー!」
「んん? 隣の女の子、誰だー?」
あぁ……騒ぐから。
皆、家から出て来たじゃないか。
「ふふっ、凄い騒ぎね。いいの? シーナ。誤解、広まっちゃうわよ?」
「……知らない。何も聞こえない」
俺は、耳を塞いだまま村長の家に急いだ。
村長の家に到着した俺は、古い扉を叩く。
少し待つと、中から足音が聞こえて来た。
「ん、外が騒がしいと思ったら……お前か」
扉が開き、村の村長である爺さんが顔を出した。
お前かとは、随分とご挨拶だな。
「帰って来いって手紙を出したのは爺さんだろ」
「そうか……届いてくれたか。女神様に感謝せねばならんな」
「その前に言う事があるだろ」
「そうじゃな。良く戻って来てくれた。立ち話もなんじゃ、茶くらい飲んで行くと良い」
「いや、いいよ。それより父さんは?」
村に帰って来たのは、父さんの様子を見る為。
終わったら、またすぐに出て行くつもりだ。
「家におるよ。帰ったら顔を見せてやると良い。なに……慌てんでも、すぐにどうにかなるものではない」
倒れたと書いてあったが、落ち着いたらしい。
爺さんがそう言うなら、慌てる事はない。
「そっか、分かった。じゃあ、俺は帰るよ。また後で来る」
まずは父さんの様子を見よう。
爺さんと話すのはその後だ。
ミーアが泊まる場所等、相談しないといけない事がある。
「あぁ、そうだ。爺さん、馬が居るんだが、何処に繋いでおけば良い?」
「馬? あぁ……それなら、うちの裏に使っておらん小屋があるじゃろ。少し片付ける必要はあるが」
「分かった。掃除くらい俺がやるよ」
「掃除なら私がやるわ。場所だけ教えて頂戴」
「ん? んん? 今のは、誰の声じゃ?」
「いいよ、俺がやるから」
「遠慮しないで。無理を言って付いて来たのは私だもの。それより、シーナは早くお父様の所に行ってあげて」
随分と殊勝な心掛けだな。
本当に別人みたいだ。
「俺がやるって言ってるだろ。お前はその間、そいつの面倒ちゃんと見とけよ」
「そいつじゃなくて、リリィよ。ちゃんと名前で呼びなさい。貴方の相棒なんだから」
「お前が掃除するなら、その間。誰がリリィの面倒見るんだよ」
「大丈夫よ、リリィは賢い子だもの……ちゃんと待てるわ。ね?」
優しい声で言いながら、ミーアは馬の頰を撫でた。
馬が好きらしい。
その優しさを少しでも人間に向けてくれ。
特に俺にな。
「んん? んー? っ!!」
「全く……なぁ、じいさっ!?」
爺さんへ向き直った瞬間だった。
ガンっ!!
突然顔を衝撃に襲われ、視界が暗転した。
「シーナっ!?」
え? 痛っ……何だ?
驚くと言う感覚が無くなっている為か、頭は冷静だ。
すぐに足を踏ん張り、崩れた体勢を整える。
「いって……なんだ?」
「大丈夫? しぃ……わっ!?」
「美しいお嬢さん、お名前は?」
「えっ? へ……っ? えっ?」
困惑した声にそちらを見れば、爺さんがミーアの手を握っていた。
……とりあえず、状況を整理しよう。
「いてて……」
開け放たれた扉。
いつの間にか外に出て、至近距離でミーアの顔を覗き込んでいる爺さん。
困惑した顔で爺さんを見つめ返しているミーア。
……うん、分かった。充分だ。
「おい、クソジジイ……何しやがる」
「わしの名はコルドール、この村の村長じゃ。お嬢ちゃんの名前は?」
「えっ……! あっ。ミーア、です」
「そうかそうか、ミーアちゃんか。可愛らしい名前じゃのう……」
いや聞けよ。
うわ、額から血が出てる。
このジジイ、思い切り扉を開けやがったな。
「うちのシーナとは、どんな関係じゃ?」
「どんなって……」
尋ねられたミーアは、一瞬。ちらっとこちらを見て……かぁぁ。
真っ赤に染めた頬を隠すように、すぐに目を逸らしてしまった。
「…………」
畜生。不覚にも可愛いと思った。
「そうかそうか。愛いのう、愛いのう……」
「おい。話聞けよ、爺さん」
「お前には聞いとらんっ! 黙っとれっ!」
えぇ……なに? その凄い剣幕。
爺さんに伸ばした手が行き場を失ってしまい、仕方なく下ろす。
「あっ! シーナ。あんた大丈夫っ!? 血が出てるじゃない」
「大丈夫だ。これくらい」
「む? 怪我をさせてしまったか。すまん……治療をするから、中に入りなさい」
今更ながらに言って、爺さんは家内へ促して来る。
別にこれくらい、自分の応急箱で済む。
「必要ない。俺は家に戻る」
「おい、待てと言ってるだろう。小さな傷だからと放っておけば」
背を向けた途端に掛けられた呼び止める声に、俺は仕方なく振り向いた。
「この程度の傷でどうにかなるなら、冒険者なんてやれるかよ」
爺さんの目が、大きく見開かれた。
俺の顔をジッと見つめている。
……何だ? その顔。
俺、何も変な事、言ってないよな?
「シーナ、お前……その目は……どうした?」
爺さんは、震えた声で呟き俺を指差した。
あ、まずい。そういう事か。
急いで顔を逸らす。
「何でも良いだろ。ミーア、俺の家はあれだ。馬を繋いだら来てくれ。なにか聞きたい事があれば、その爺さんに聞け」
「あ、うん。分かったわ」
逃げるように歩き出した俺は、自分の家に向かう途中。爺さんを一度盗み見た。
爺さんは、未だに俺の姿を目で追っていた。
間違いなく気付かれたな。
後から面倒な言及をされなければ良いが。
家に到着した俺は、扉に手を掛けた。
半年ぶりの我が家。
これほど長い間、帰らなかったのは初めてだ。
父さんに会ったら、ただいまくらい。ちゃんと言おう。
「シーナ!」
突然、隣から聞き慣れた声が俺の名を呼んだ。
見れば隣人の夫婦が立っている。ユキナの両親だ。
「無事だったのか。良かった」
コニーおじさんがそう言って近づいて来ようとしている。
俺はそれを見て、目を細めた。
「シーナ。あぁ、良かった……本当に。出て行ったと聞いた時は、私。凄く心配したのよ?」
シロナおばさんは、涙の滲んだ目を拭っている。
睨んでも意味がないか、仕方ない。
あまりやりたくはないが、一度決めた事だ。
「別に、貴方達に心配される謂れはありませんが」
冷たく言えば、コニーおじさんの足が止まった。
「な……え……シーナ?」
「何でしょう? 用件があるなら、手短にお願いします」
震えたおじさんの手が、俺に伸ばされた。
「俺は、お前が帰って来たから。無事だった事が嬉しいんだ」
「そうですか、それは良かった」
適当に応えて、俺は扉を開けた。
我が家の扉に鍵なんてものはない。
「シーナ、待って! 話をしましょう! 私達が悪かったの! あの娘は、ユキナは私達も捨てたわ! もう……もう関わりはないの! あれから、全く連絡が取れないのよ! 私達が間違ってたのよ! だからっ!」
なに? ユキナがこの二人と連絡を絶った?
何だそれ、実の両親だろ? あいつ正気か?
「そうだ。シーナ、待ってくれ。俺達もお前と同じなんだ。俺は、守らなきゃいけないものを間違えた……後悔してるんだ。頼むから、話をしよう。俺達はもう二度と、間違えないから。お前だけなんだ。俺達が今、大切なものは……」
必死な様子の二人。
そんな二人を交互に見て、俺は……。
躊躇う事なく、口にした。
「ユキナって、誰だ?」
途端、二人が息を呑んだのが分かった。
さっさと家に入ろう。
「では、失礼します」
「え……あっ。ま、待てっ! シーナ!」
呼び止められたが、俺は構わず扉を閉めた。
悪いな、二人共。
でも俺は、今更後ろを見るつもりはない。
前に進むって、決めたんだ。
「ごほっ…! こほっ!」
不意に、男が咳き込む声が聞こえて来た。
場所は……父さんの寝室からだ。
本当に具合が悪いらしい。
「入るよ」
父さんの寝室へ向かい、小声で断って扉を開ける。
「ごほっ……ん、シーナか」
「うん。ただいま」
父さんは、寝台の上に居た。
壁に背を預けているその姿は、少し痩せたように見える。
「帰って来たのか」
「父さんが死にそうだって聞いたからだろ。でも、なんだ。思ったより元気そうじゃないか」
「誰に聞いた?」
「爺さんからに決まってるだろ、手紙なんだから」
「ごほっ、こほっ……ただの風邪だ。あの爺、お前に会いたいからって俺を使いやがったな?」
ただの風邪、ね。
俺は父さんの様子を観察した。
膝に掛かった毛布には、染みが出来ていた。
ただの風邪で吐血するかよ。下手な嘘だな。
「そっか。なら良いんだ。それなら手土産に酒の一つも買ってこれば良かったね」
「なに? まさか、買って来てないのか?」
「当たり前だろ。病人に酒なんか飲ませるかよ。重病だって聞いて、慌てて帰って来たんだから」
「……シーナ、よく聞け。ごほっ……酒はな、万病の薬とも言われているんだ」
「だったら、そんな風邪なんか引かないだろ。毎日薬飲んでるんだから」
「薬も飲み過ぎると効かなくなるんだ。当たり前だろ? だからシーナ、ごほっ、こほっ! お、お前。明日は街に戻って酒買ってこい。普段と違う酒を飲めば、こんな風邪」
「だから飲ませないって言ってるだろ」
なに馬鹿なこと言ってるんだ。
本当に死ぬぞ?
「俺が死んでも良いのか? 父親だぞっ」
「良くないに決まってるだろ。酒は身体が治ってから、だ。だからまずは治そう。治ったら、そのうち旅先で見つけた良い酒を送るからさ」
「……それなら我慢してやる。約束だぞ?」
「はいはい」
適当に返事をすると、父さんは表情を和らげた。
「……良く無事に帰って来たな」
「うん」
「どうだ? 街の生活は。慣れたか?」
「なんとか、やっていけてるよ。でも、正直。最初は父さんが用意してくれたお金がなかったら厳しかった。あんな大金、よく準備出来たね」
「ごほっ……役に立ったなら、良い。俺には必要のないものだ」
よく言うぜ、この村で酒を手に入れるには、月に二度だけ来る商人のおじさんから酒を買わなければならない。
それは、例え同じ品であっても街で買うより高いのだ。
金は幾らあっても酒豪の父さんには足りない。
「共に過ごす仲間は、友達は……出来たか?」
「うん。一緒に旅をする事になったんだ。連れて来てるから、後で紹介するよ」
「そうか。ごほっ! 冒険は、したか?」
「したよ。少しは戦えるようになったんだぞ」
「そうか……」
それから俺は、父さんと話をした。
冒険者ギルドに登録したものの、堅実な仕事を選んで働きつつ鍛錬をした事。
お陰で、ギルドでは馬鹿にされていた事。
街で出会った人達は、良い人ばかりだった事。
父さんに貰ったお金は、もう貯め直してそのまま持っている事。
……流石に人を斬った話や死に掛けた話はしなかったが、沢山話をした。
父さんはそんな俺の話に相槌を打ちながら、しっかり聞いてくれた。
思えば、父さんとこんなに話すのはユキナを失って以来の事だった。
「頑張ってるんだな。予想以上だ」
「まぁね」
少しだけ胸を張ってみせると、父さんは俺の目を見て。
「本当に、頑張って来たんだな」
そう言って、少しだけ辛そうな表情を見せた。
まさか、気付いたのか? 父さんも。
いやいや、まさか。
「その割には、お前。全然楽しそうじゃないな」
突然飛んできた言葉に、俺は耳を疑った。
更に、次の瞬間。俺は驚かされる事になる。
「シーナ、お前。人を、人間を斬ったな? それも一人じゃない。大勢だ」
「…………」
なんて言えば良いか分からなくなった俺は、父さんの顔を見続けた。
「なんでそう思うんだ?」
「分かるさ。お前の目には、死神が宿ってる」
そう告げる父さんの表情には、自信があった。
俺はすぐに観念する。
「……あぁ、斬った。沢山、殺したよ」
はい、遅くなりました。
申し訳ありません。
理由としましては、仕事の現場が終わって次を考えないといけなかったのと、トレーナーに就職して忙しかったからです。
申し訳ありません。
うまぴょいして、ましたぁ!
僕はトウカイテイオー推しです。
そんな事は置いといて、今後ですが。
剣幼を面白くなるところまで連れて行きたいのでガンガン書きます。
故郷編は少し長くなる予定です。
シーナの人生が更に狂っていくお話だからです。
彼は今後、沢山の選択を迫られます。
正直、転生とかではなく普通の村人の少年なんで、イキがってますがかなり酷な運命にあります。
彼の望むものは、剣を取り血を見なければ得られない先にあります。
さて、シーナは今後。どうなってしまうのか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます