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「私は秋野四葉先輩のことが好きです」

 真昼は言った。


 それは四葉の顔を正面からしっかりと見つめた、とても真っ直ぐで正直な性格をしている、村上真昼らしい、とても気持ちの良い、思い切った告白だった。


「秋野先輩。私と付き合ってください」真昼は言った。

 真昼は少しだけ体を乗り出して、じっと、強い気持ちのこもった目で、四葉の顔を見つめていた。


 村上真昼が秋野四葉に恋をしたのは、大学に入ってすぐのころだった。

 友人の男の子に誘われた将棋サークルの新入生歓迎会の席に、秋野四葉はいた。(結局、その将棋サークルには真昼は入らなくて、四葉も友達に誘われただけだった)


 それは、一目惚れだった。

 それは本当に突然の恋だった。(恋をする予定は、当分ないはずだった)


 あれから四年。(……そうか。もう四年も経つんだ)


 真昼はようやく、四葉に自分の思いを言葉にしてきちんと伝えることができた。四年間。ずっと片思いの恋のままで、告白ができなかったのに、こうして今日、四葉に告白をすることができたのは(実は、最初から今日、真昼は四葉に自分の思いを伝えるつもりだったのだけど、彼女と出会わなければ、きっと、今日もいつものように、本当の自分の気持ちを四葉に言えないままで、さよなら、をしていたと思う)雨宮詩織さんのおかげだと真昼は思った。


 四葉はずっと黙っている。

 片思いだけど、私の好意は、……四葉(あなた)への思いは、きっと四葉にも伝わっているはずだ。その確信が真昼にはあった。(私は器用に自分の思いを隠して、恋愛なんてできないのだ)

 だから、四葉もいつかこうして、私(真昼)から、突然、雨降りの中、どこかの自然公園の小さな休憩所の中で、こうして告白されることもあると、最初からわかっていたはずだった。


 でも、四葉は無言。

 ……返事がないのは、拒否の証なのだろうか?


 真昼はすごく不安になった。

 心臓がずっとどきどきしていた。

 外に降る雨の音が、とても強い音になって、やけにはっきりと真昼の綺麗な耳に聞こえていた。

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