23
「私は秋野四葉先輩のことが好きです」
真昼は言った。
それは四葉の顔を正面からしっかりと見つめた、とても真っ直ぐで正直な性格をしている、村上真昼らしい、とても気持ちの良い、思い切った告白だった。
「秋野先輩。私と付き合ってください」真昼は言った。
真昼は少しだけ体を乗り出して、じっと、強い気持ちのこもった目で、四葉の顔を見つめていた。
村上真昼が秋野四葉に恋をしたのは、大学に入ってすぐのころだった。
友人の男の子に誘われた将棋サークルの新入生歓迎会の席に、秋野四葉はいた。(結局、その将棋サークルには真昼は入らなくて、四葉も友達に誘われただけだった)
それは、一目惚れだった。
それは本当に突然の恋だった。(恋をする予定は、当分ないはずだった)
あれから四年。(……そうか。もう四年も経つんだ)
真昼はようやく、四葉に自分の思いを言葉にしてきちんと伝えることができた。四年間。ずっと片思いの恋のままで、告白ができなかったのに、こうして今日、四葉に告白をすることができたのは(実は、最初から今日、真昼は四葉に自分の思いを伝えるつもりだったのだけど、彼女と出会わなければ、きっと、今日もいつものように、本当の自分の気持ちを四葉に言えないままで、さよなら、をしていたと思う)雨宮詩織さんのおかげだと真昼は思った。
四葉はずっと黙っている。
片思いだけど、私の好意は、……四葉(あなた)への思いは、きっと四葉にも伝わっているはずだ。その確信が真昼にはあった。(私は器用に自分の思いを隠して、恋愛なんてできないのだ)
だから、四葉もいつかこうして、私(真昼)から、突然、雨降りの中、どこかの自然公園の小さな休憩所の中で、こうして告白されることもあると、最初からわかっていたはずだった。
でも、四葉は無言。
……返事がないのは、拒否の証なのだろうか?
真昼はすごく不安になった。
心臓がずっとどきどきしていた。
外に降る雨の音が、とても強い音になって、やけにはっきりと真昼の綺麗な耳に聞こえていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます