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四葉は国立の大学の大学院生として、園原研究室に所属をしている院生だった。二年の修士過程を終えて、今年からは博士過程に進んだ。
今のところ、一般企業などに就職するつもりはなく、四葉はこのまま、できれば研究者として、どこかの大学に残りたいと考えていた。
指導教官の園原先生も、四葉の進路の希望を知っており、概ね(四葉の才能や能力、意力も含めて)その進路に賛成してくれていた。
園原先生の専門は、植物、森の動物学であり、四葉も(園原研に所属していることからも、わかるように)植物、森の動物学の研究を続けていた。
清潔感のある、シンプルな園原研の部屋の中には幾つかの机と椅子。テーブル。壁際にはスチール製の本棚があって、本棚には本や雑誌、研究資料がびっしりとはいっている。窓のところには小さなサボテンの鉢植えが置いてある。
「こんにちは」
四葉が、園原研で、自身の研究を続けていると、そんな声がして、入り口のドアが開いた。そこから、村上真昼が顔を出した。
そんな真昼のことを、園原研の部屋の中にいた三人の人間が、ほど同時に顔をあげて見た。
園原研究室は大学の中でも小さな研究室で、教授の園原慎二先生を別にすれば、所属している学生は二人しかいなかった。
一人は今年博士課程にはいった秋野四葉。
そして、もう一人がその四葉の前の机に向かい合うようにして、座って研究をしている、今年修士二年の桃ノ木紗枝先輩(二十四歳)だった。
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