8 四季の輝き 春
四季の輝き 春
なんだかすごく、懐かしい夢を見た。
東京にあるマンションの自室の中で、四葉は目を覚ました。
ずっと、忘れていた懐かしい夢。
なんで今頃、あんな自分の初恋の人の夢を見たのだろう? そんなことを思って、四葉はちょっとだけ、ベットの上で微笑んだ。
それから四葉は考える。
それはあの夢の中に出てきた女の子の名前だった。
あの子の名前は、なんていう名前だったんだろう?
子供のころ、両親に連れて行ってもらった信州で出会った同い年の女の子。その女の子の名前を、大人になった四葉は、覚えてはいなかった。
今朝の夢の中で、四葉は確かに彼女の名前を呼んだ。
……でも、目覚めた四葉は彼女の名前を覚えてはいなかった。
それがすごく残念だった。
四葉は朝の行動を開始する。
四葉はベットから抜け出して、キッチンに移動すると、そこで温かいコーヒーを淹れて、牛乳と割って、それを飲んだ。
四葉の自宅には大きな本棚があって、本棚に本がびっしりとはいっている。その中から、四葉は適当に一冊の本を取り出してぱらぱらとページをめくって本を読んだ。それは森と木々に関しての図鑑のような本だった。
大きな窓の近くには緑色の観葉植物の鉢植えが一つだけ置いてあって、その観葉植物に四葉はいつものように、水をやった。
それから四葉は、バスルームでシャワーを浴びて、着替えをして、軽い朝食をとってから、大学に通学するために、一人暮らしのマンションをあとにした。
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