「Chet Baker Sings」 Chet Baker

このアルバムは、ジャズボーカルアルバムです。

そして、私が一番入門にふさわしいと感じているアルバムです。

とにかくわかりやすい。

一曲が三分程度だし、

ジャズスタンダードもたくさん入っている。


ボーカル兼トランペットのチェットベイカー。

彼のフレーズはとにかく親しみやすい。

凄いプレイヤーではありませんが、キャラの立ったプレイヤーです。

まず、イケメン。

次に、イケボ。

そして、ペットがうまい。

ただ、どうしようもなくダメ男……。


またも、ヤク中です。

ヤクやりすぎて金がなくなって、借金取りに前歯を折られ、

一時期音楽家生命すら危ぶまれました。

そして最後は二階から謎の転落死。

痴情のもつれが原因とも言われていますが、真相は闇の中。

あと、ヤクをやり続けるためにヨーロッパに逃げたりとか、やりたい放題です。


ただ、憎めない。

歌がうまい。

とにかく声がいい。

ずるいですね、才能のある男って奴は。


1.「That Old Feeling」


プリティな同窓会ソング。

なんか久しぶりに昔好きだった娘を見たら、

めっちゃかわいなっとるやん。

みたいなノリ。

ハッピーな曲です。

もしくは、喜劇的な曲。


まず、誰もが彼の美声に驚かされるでしょう。

ザ・少年みたいな声をしています。

透き通りまくってます。

これが後々、あんなことに……。

詳しくは、彼の晩年の作品を聴いてください。

アーティストの辛さを思い知れます。


2.「It's Always You」


なぁんかいっつも、お前やんなぁ~~。

というウォームなラブソング。

しっとりして、気持ちいいです。

この曲はメジャーなスタンダード曲で、

多くのプレイヤーにカバーされています。


3.「Like Someone In Love」


めちゃくちゃ名曲。

超有名曲です。

知っておいて損ないです。

エモい、空を飛ぶような曲です。

彼のファルセットがかすれて、これが綺麗なこと綺麗なこと。

やっぱり管楽器奏者は、自分で音を作らないといけない分、

音感がいいんですよね。

そこらのボーカルとは説得力が違います。


4.「My Ideal」


冒頭のオルゴール的な音(多分鉄琴の一種のどれか)

が印象的なアレンジ。

これもキャッチーなバラード。

跳躍の多いメロディを華麗に歌いこなします。

かっけぇ……!!

もちろん、ペットも最高。

シンプルなメロディが空間に染み渡ります。

エモす。


5.「I've Never Been In Love Before」


これもめちゃくちゃ有名な曲。

実はですね、イーサンホーク主演で映画化したんですが、

そのときにこの曲が……!

泣けましたね、あれは。

泣きませんでしたけど、泣けました。


こんな恋、初めてだったねん……。

ウチ、めっちゃ好きだったねん……。

でも、初めてすぎてアカンかったわぁ……。

こんな感じの曲です。

ありますよね、一番好きな人とうまくいかないとか。

お互い運命のはずなのにくっつけないとか。

あるある。

あるある……。

……ない。


彼の愚かさを象徴するような、甘美な曲です。


7.「But Not For Me」


これもまたアホみたいに有名な曲。

ガーシュウィンというジャズクラシック作曲家が作りました。


めっちゃいい太陽~~だけど俺のためじゃなーい。

めっちゃいい天気~~でも俺のためじゃなーい。

そしてあの娘可愛い~~やっぱ俺のもんじゃな~い。


みたいな明るい曲です。

これをコルトレーンとかいう変態がやると、

まあ変態になりますが、それはまたおいおい。


10.「My Funny Valentine」


えぐすぎる程、有名な曲。

死ぬほどバラード。

めっちゃ切ない。

小声がいい。

ぶつぶつ喋ってます。

ビブラートもきれいです。


これをマイルスとかいう変態がやると、

まあ物凄いことになりますが、それもまたいずれ。


13.「I Fall In Love Too Easily」


まーた有名な曲を……。


ほーんと俺惚れっぽいんだよ。

だからあんま女の子寄ってこないでくれ……。

頼む、惚れちゃうから放っておいてくれ。

ああ、ダメだ、もう惚れたわ、こりゃあかん……。


みたいな歌詞です。

多分。

これもいろんな人がやってますね。

知っておいた方がいい曲の一つです。



まとめ


思っていたよりずっといいアルバムですね、これ。

ちょっと私くらいになると刺激が足りないかな?

とも感じますが、間を置けば復活します。


それに、彼のフレーズや音色は永遠に色あせませんし、

私自身三年前には激しくはまりました。

みなさんもこのアルバムから、ジャズを始めてみてください。


ボーカルじゃないとちょっと……。

と言う人には特におすすめです。

アドリブが苦手な人も、これならほぼありません。



文章的な話を少し。


チェットは本当に甘ったれた野郎でして、

でもそのくらい甘い方が、現代にはマッチしているのかなと思います。

特にネット小説のようなインスタントな場においては、

むしろわかりやすい魅力の方がふさわしい。

彼くらいベッタベタなくらいが、いいのかも知れませんね。

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