友情でも世界が滅ぶ 3
「何言ってんだお前、あんな国家財産盗んだら国際指名手配されるぞ」
「あ、やっぱり?」
そうだよなー、持ち主いないって言ったってあんな古代兵器じみたもの盗んでただですむわけないよなあ。
「まあ、手伝うけどな」
「良い奴だよなお前」
金髪碧眼で王子様みたいな見た目してる金持ちだから性格悪いと思ってたんだけどな、ただの偏見だったわ。
「で?決行はいつだ?」
「今日」
「ふんっ!!」
来ると思ってたぜ!!そう何度も何度も攻撃食らってたまるか。
「甘い」
「ぎゃあっ!?」
隙の生じぬ二段構えとはやるな……俺の知り合い戦闘力高くて頼りになる。だが、俺も反撃しないとは思うなよ。
「おらっ!!」
「だから甘いと言っている」
くっそ、なんでこんな狭い部屋の中で俺の攻撃よけられるんだよ!!
「で、お前の事だからなんの計画も立てていないと思うが違うか?」
「ご名答」
「はぁ~~、それでよくエクスカリバー盗むなんて言えたな。お前の頭は帽子を乗せる台なのか?」
「反論はねえがもう少しだけオブラートに包めねえかなあ?」
別に気にしてはいないけどな。
「にしても、なんでいきなりあんなもの盗もうとする。欲しいわけでもないだろうに」
「そりゃああんな棒きれいらねえよ、でもそのままにしとく訳にもいかねえからな」
世界が滅ぶらしいから。
「まあいい。30分待て、それで保管場所の警備状態は割れる」
お前は大泥棒の一味か何かなのか。実は祖先の中にアルセーヌとかいう人が混ざってたりしねえ。もしくは峰とか次元とか石川とかさあ。
「お前ってもしかして……泥棒稼業に手出してたりしない?」
「してるか馬鹿。こういう力を貸して欲しくて俺を頼ったんだろうが」
「そうだけどよお……実際見ると引く」
いやだってさあ、目の前でちゃちゃっとそんなことされたらこうなんというか。遠いところに行っちゃったなあって思うじゃん。
「言っておくが先に俺たちを置いていったのはお前だからな。それで疎外感を感じるのはお門違いというやつだぞ」
「あ……うん。ソウダネ」
お前もそんな風に言うのか。もみじもなんか置いて行かれたとか言ってたし、そんなに悪いことしたか?
「まったく……分かったぞ。決行するのなら今日の11時だ、そこが警備の交代の時間になる」
「警備の奴らどうにかなっても、他のセンサーはどうにもならなくね?」
「お前は記憶でも失っているのか。俺の神遺物の力を使えばそんなものどうにでもなるだろう」
「そんなん使ったらお前だって一発でバレるんじゃねえの。お前って結構有名人だよな?」
神遺物の所有者ってだいたい把握されてるし、なんならもみじも多分登録済みだろうし。
「結構ではない、世界的な有名人だよ」
自分で言うかねえ。実際そうだろうけどな。
「だからどうした、地位も名声も俺にとっては煩わしい付属物に過ぎない。本当に力になりたい奴の力になれないのならそんなものはいらないだろう」
やだ男前、惚れそう。
「え……何、お前俺の事好きなの?」
「嫌いだとおもっていたのか?それは心外だな?」
えええ?壁ドン?俺に?こいつ何かキメてんの?
「待て、俺は男だぞ。正気に戻れ、いや戻ってください。ランス!!らああああああああああああああああああああんす!!!」
「ぶふっ……顔が真っ青だぞお前……くくっ……なんだ……貞操の危機でも感じたか……ふははははははは!!!」
この野郎……虚仮にしやがって……後で覚えていやがれ。お前のことも笑い飛ばしてやるからな。
「ああ、楽しい。お前といると退屈しなくていいな」
「ああそうですか、そいつは結構なこって」
外からバラバラとプロペラが回る音がする。きっとランスが呼んだものだろう。
「ヘリか……領空侵犯で撃ち落とされないか?」
「誰がそのまま行くと言った、ここではろくな滑走路すらないんだ。場所を変えるというだけのことだ」
あ、そう。あれなんか猛烈に嫌な予感がする。
「あのう、つかぬこと伺ってもいいですかね?」
「なんだ……気持ち悪い」
「どうやって入国するつもりなんでしょうか?」
「ああ、そんなの決まってるだろう。盗み目的の不法入国だからなまともなルートは使えない」
これアカン奴だな。
「だから、上空1万メートルからの垂直落下になるがどうした?」
「どうしたじゃねえ、死ぬよ?そんなことしたら、死ぬよ?」
「安心しろ。クッションだけは持たせてやるから」
「パラシュートを持たせろよ!!普通の人間は上空1万メートルから落ちたら死ぬの。分かる?どぅゆぅあんだぁすたあん!!」
お前らと同じ感覚で投下されても困るわ。
「え?」
あら意外。みたいな顔をするんじゃねえ。こちとらスペックはただの一般人なんだからな。お前らみたいな逸般人と同じにするんじゃねえ。
「まさか……おまえ、自由落下の衝撃殺せないのか……?」
「言っとくけどこの世のほとんどの生き物は1万メートルから落ちたら死ぬからな」
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