第4話 加護と適正

 マサの両腕の明滅は速度を増し、やがて明滅をやめ、すうーっと消えていった。


はっとなったマサの顔から高揚しているような、湯気が出てきそうな赤い顔をしていた。


『うまく発動しましたね。しかも貴方は魔法の適性があるようですね。それも仙人に教わると良いでしょう』


もうすでにまさのキャパオーバー。もう頷くしかなかった。


『二年後。仙人があなた方の前に現れます』


「わかりました。仙人様の来られるのを待ってます。それともう一つ伺っても良いですか?」


『何なりとお聞きください』


「精霊様の名前とかくらいとかあるんですか?」


『そうでした。まだ、名乗ってませんでしたね』


精霊が少し照れたような声で


『名をセイメイと申します。この準精霊の子も、マーリンと言います。くらいは精霊にはありません。精霊は長生き故に年を重ねて色々な特技を吸収してやがて名を貰い、そこから事象をも操れる大精霊になっていきます。私はまだまだですね』


マサは、前に夢に出てきた不思議な格好の祈祷師が同じ”セイメイ”だったことを思いだした。


『私の前では”セイメイ”と呼んでください』


「では、セイメイ様。私たち家族と村を、宜しくお願いいたします」


『此方こそありがとう。さあ、もう暗くなります。村に帰り明日の朝、ミサと二人で神樹の前に。その時に又お目にかかりましょう。マーリン、マサを村まで連れて行ってあげてください』


そう言われると、光りが籠の上をクルッと回るとストンと籠の中に消えた。


辺りが静けさに包まれ、もう日も沈みかけている。


「早く帰ってミサにこのことを話してやんねーと・・・」



立ち上がったマサは、上着を脱いで籠の中の子供に寒くないようにと巻き付け、籠ごと抱き上げて、森を出て行った。


子供とこの夫婦の、これから荒波に翻弄される(かも知れない)運命の出会いである。

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