月の決まりごと_その二・部屋掃除


朝食を食べた後は、少し休憩。

その後自室の掃除。

几帳面な月らしく、中はびしっと棚から小物に至るまで整然と並べられていて。

全然掃除をする必要はないのだけれど。

それでも決まりは決まり。

一日だって手を抜いた日はない。


シーツのしわを伸ばして、本棚の埃を払う。

鏡を磨けば、銀色の髪をしてフレームのないメガネをかけた少年が気難しそうな顔をして立っていた。

頭のてっぺんと奥にある本棚を見比べて、それから額にしわを寄せる。

彼の悩みはあまり身長が伸びないこと。

一般的な15歳男子の身長は知らないけれど、雪よりも頭一個分小さいのが気に入らない。

魔女さまはそのうち伸びると言うけれど。

ちなみに3人の中で一番小さいのは花だ。

花はだいぶ小柄で月の胸あたりまでしかない。

しかも魔女さまの見立てではもう伸びないとのこと。

でも花は全然気にしていない。小さいほうが便利なときもあるのだそう。


月はやっぱり背は高い方がいいと思う。

だってその方が高いところを掃除しやすいから。











  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る