月の決まりごと_そのいち・早寝早起き


月は雪を一匹狼だと揶揄ったけれど、雪は雪で月をこう評している。

絡繰からくり人形。

螺子を巻かれれば、決められた通りにカタカタと動く絡繰人形。

毎日同じ生活を繰り返すお前みたいだと雪は言った。

それで二人はまた喧嘩をして、花は自分には何もないのかと少し寂しげ。

月の決まりごとに組み込まれていないのは、雪との喧嘩くらいだ。



そんな月の生活はまず早寝早起きから始まる。


前の夜はお月さまがてっぺんに登る前に就寝。

朝はお日様が顔を出す前に目を覚ます。


夜明け前の霧の森を散歩し、ちょうど日が差した頃に家に帰る。

庭の花に水を撒いた後朝食の準備。

と言っても魔女さまは起きてきたためしがないし、雪は基本家にいない。

用意をしていると、いつの間にか花が食器を用意して待っている。

「一人でご飯を食べるのは寂しいですから………」前に花はそう呟いた。

食べ終われば花はふらりと姿を消し一人の時間が訪れる。


まだ一日は始まったばかりで、月の決まりごともいくつか残っている。






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