1100:マッチ売りの少女は祖母の夢を見るか?
「
二世紀前に誕生したその発火具、今では
ボクは燐寸が好きだ。燐寸の放つ炎、その明かりは
燐寸が発明される
――それはそうと。
ボクはその燐寸売りの少女を無視した。
燐寸の明かりが好きであろうと、その子とその商売の行く末とは無縁。
ボクは足早にその場を通り過ぎた。
過ぎたんだけど――
なんて
おにぃが立ち止まってしまった。
――これは、
少女は満面の笑み、
「まいどありィ~!」
燐寸を
「……」
――ギャッ!
間もなく、大通りから短い悲痛な叫び声が響く。
ボクは
やっぱりね――
胸元から逆サイドの脇腹下腰
これはボクの想像、
燐寸売りの少女は
目の前に出された大金に、
結果、
――そう、
ブラックスポットの環境が生んだ悲劇、
多分。
ジャリッ――
背後に
おにぃに視力がなかった事が、この時ばかりは良かったのかも知れない。
こんな
良かれと思った親切心が、
――なのに。
「何があった?」
「!?……えっ?」
「少女に、あの彼女に何かあったろう。話せ」
「――い、いや……な、何も……」
「
「――……少女は……残念だけど、彼女は
――ドンッッッ!!!
大地を踏み締める音、遅れて
「お、おにぃ!!」
音速の壁を軽やかに越え、
驚異的な加速度を伴う
指先前方に発生した
生々しいその心臓を大地に投げ捨て、横たわる大男の握り締めたくしゃくしゃの札束を
買い取った
燐寸箱側面の
義手の手首からケミカルチューブを
「――
「…………おにぃ」
この国の
注意深く、用心深く、旅立ちのタイミングを見計らっていたのに
でも――悪くない。
周囲が
ブラックスポットでの暴力沙汰は日常。
わらわらと群れ
いいのだろうか、
もう、
そんなボク達を、今のボク達を
ネットワークの
さよなら、名も知らぬ
ボクは君らが思うよりも――怖ろしい。
18体の遺体が音もなく転がる。
何の
炎に燃ゆる少女の
久し振りに“
いつ以来だろうか?
ボクが
こんな衝動的で野蛮な
でも、なんだろう、
鮮血
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