1011:さびれた町で
「俺は今回の取引、
「――……」
「捜査協力なんてもんがなけりゃ、俺は普通に商売してたんだ」
「……ああ」
「ただ、ほら?とっ
「……別に気にしてない。無事、取引出来たのだから問題ない」
「――お、おう、そうだな」
「……ああ」
「さて――それじゃ、まぁ、知ってる事は全て話したし……もういいだろ?」
「――ああ」
ワイヤで締め付けられていた箇所を
「こっからじゃ、歩いて帰るしかねぇーな……
ブラックスポットには
旧来の
ボク達に
この男、それくらいの判断は出来る
「そうそう、少しだけ忠告させてくれ」
「?……」
「まず、君、クリカラ。アキバ=ミョージンみたいな
「ああ、――そうしよう……」
「それから、そっちのお
「!?……ボク?」
「あんな
「――えーと……どんな規模だったかなぁ?ちょっと、覚えてないや」
「ABCD
「……そうなんだ?」
「一歩間違えれば、警察や消防、軍も投入されちまう。恐らく、あの時も
SE以降、
「――ありがとう、気を付けるよ」
その通りだ――
うん、――気を付けよう、本当に。
オドゥオールは先に立った。
ボク達が
ボクの
何せ、オドゥオールを拉致した
アナログな追跡者が居た場合、その存在に気付き
先程のオドゥオールの仕草同様、ボクも
それにしても――
この“
帝国の表舞台を彩る
打ち砕かれた科学文明の
ボロボロの衣服を
原始的な、本能的とも云うべきか、破壊されたインフラと捨て置かれた孤立社会が
昔、もう大昔の事だけど、ボクもよく経験した。
勿論、ボクが経験したのは食糧の奪い合いじゃない。名誉だとか、迷信だとか、名声だとか、そんな
ボクの持ち合わせていない、ちっぽけで下らない、そんな感覚。
でも、この感じ、ボクにとっても良くない。
――
この感覚、ボクの、ボクの中の
ボクが、生命体として存在している事を自認する、せざるを得ない最小の感覚。それがコレなんだろう。
こんな感覚、今はいらないのに。
追跡者がいないかどうかを。
ボク達に注目している者がいないかどうかを。
大丈夫そうだ――
去っていったオドゥオールを追う者もいなかった。
ボク達の居る旅籠を見守る者もいない。
ボクは目立つ。
誰も注目していない事が重要。
――うん。
これなら、旅籠を出てもいいだろう。
「おにぃ、行くよ」
「ああ――だが、休まなくて平気なのか?」
「……えっ!?」
びっくりした――
ボクが、ヒトではない事を。出会ったその時、
そんなヒトデナシのボクを、ボクに
ああ、そうか。
おにぃは、ヒト、だった。
この出会いが偶然だとしたら、ボクはいっそ
「大丈夫だよ」
「――そうか。それなら
「うん――」
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